全身持久力に肺活量は関係ない?より高い持久力に関係することとは。
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持久力がある人に対して「肺活量が多いなぁ」と言うことはないでしょうか。
持久力にはより酸素を多く利用することが重要なので、より多くの空気を吸えることはより多くの酸素を利用できることになりそうですが、
実は、肺活量が多くても、それほど持久力には大きく影響しません。
それでは、今回は持久力が優れている人は何が優れているのかと言うことについて紹介していきます。
酸素を利用する過程
人間は空気を吸うことで、酸素を体内に取り込んで、その酸素を利用して筋肉を動かしている訳ですが、
酸素が筋肉で使われるまでに、どのように取り込まれ運搬されるのか。という話からしていきます。
外の空気を肺に取り込むと、肺胞に空気が触れます。すると、肺胞は取り込んだ空気から酸素を取りだし、代わりに二酸化炭素を戻します。
取り込まれた酸素はその次に、血液によって筋肉まで運搬されます。
筋肉まで来ると、毛細血管という部分で酸素を筋肉に渡し、二酸化炭素を筋肉から受け取ります。
こうして、酸素は筋肉まで運搬されます。
肺活量が多くなるメリットはどれくらい?
人間は肺に取り込んだ酸素を全て利用できるわけではありません。
空気中の酸素の割合は約21%ですが、
空気を吸って酸素を肺胞で取り込んで残った空気を呼気として吐くわけですが、呼気にはまだ14%程度酸素が存在します。
また、運動中はもう少し取り込める割合が上がりますが、それでも運動中の吐く息にも10%程度の割合で酸素が残っています。
つまり、安静時は1/3程度、運動時でも1/2程度の酸素しか空気中から取り込めないのです。
肺活量とは呼吸で取り込める空気の量です。
なので、例えば酸素を100取り込めるAさんがいて、あなたはAさんより肺活量が10%多くても、それで取り込める酸素の量は5%アップの105にしかならないのです。
つまり、肺活量が人より多いことはそれほど全身持久力には影響しないのです。
持久力は筋肉でどれだけ酸素を利用できるかが重要
じゃあ、何が持久力と最も関係しているのかというと、それは「どれだけ筋肉で酸素を利用できるか。」です。
筋肉には大きく分けると、酸素を使ってゆっくり動く「遅筋」と酸素を使わず素早く動く「速筋」があります。
なので、酸素を使う遅筋が多い人ほど持久力に優れています。
筋肉の中の遅筋と速筋の割合を「筋繊維組成」と言うのですが、
この筋繊維組成は人によって大きく変わり、
極端な例ですが、一流の陸上長距離選手は遅筋が80%を締めるのに対して、一流の陸上短距離選手は速筋が80%を占めます。
(ちなみにですが、チキンには速筋の方が多く存在するそうです。)
長距離選手と短距離選手では筋肉量が違うので、遅筋と速筋の割合だけで比較はできませんが、一般的に長距離選手の方が2倍近く酸素を利用できます。
そして、2倍酸素を多く利用できるということは、2倍持久力に優れているということになります。
まとめ
全身持久力の優劣を評価するには、いかに酸素を多く利用できるかということを評価することになります。
そして、よく肺活量の多い人の方が持久力に優れているという風に言われますが、実際には肺活量が多くても持久力に対する影響はあまり大きくなく、
むしろ、遅筋と言われる酸素を多く使う筋肉をより多く持っていることの方が全身持久力の優劣を決める上で重要になります。