ハムストリング肉離れとランニングフォームの関係性|エビデンスレビュー
研究概要
この研究では、ベルギーのアマチュアサッカー選手を60人集めてきています。
- 昨シーズンにハムストリングを損傷した選手30名
- 健全な選手30名
のランニングフォームを3Dモーションキャプチャーを使って解析し、その後1.5年、その選手がハムストリング を損傷したかどうかをフォローアップします。
腰痛などを持っている選手、重篤な下肢損傷の既往歴のある選手などは除外されています。
ここから、以下の2つの視点でこの2群のランニングフォームを比較していきます。
- 後向き:ハムストリング損傷がランニングフォームに影響するか。
- 前向き:ランニングフォームがハムストリング損傷のリスクに影響するか。
前向きの比較では、バイアスを避けるためコントロール群30名の間で1.5年間のフォローアップ間にハムストリング損傷を起こした選手vs起こさなかった選手で比較していきます。
結果①:ハムストリング損傷がランニングフォームに影響するか。
ハムストリング損傷の既往歴がある選手は、普通の選手に比べてランニングフォームが違うのか。
今回の研究の結果では、、、
影響ありませんでした。
これはハムストリング損傷の既往歴とランニングフォームへの影響を完全に否定するものではないので、注意が必要です。
結果②:ランニングフォームがハムストリング損傷のリスクに影響するか。
今回の研究の主な発見はこちらの前向き解析の結果になります。
元々ハムストリング損傷を起こしたことのない選手の中で、1.5年間のフォローアップの中でハムストリングを損傷した選手が4名いました。(4名vs25名)
その4名のランニングフォームと残りの25名のランニングフォームを比較した結果、以下のような違いが見られました。
- 骨盤前傾 @Back swing phase
- 体幹側屈 @Front swing phase (=支持足側への側屈)</strong>
これらのランニングフォームはハムストリング損傷のリスクになるえるとこの結果から考えられます。
骨盤前傾でp=0.045, 体幹側屈でp=0.028とそれぞれ有意差が見られました。
個人的見解
今回の研究では、ハムストリング損傷のリスクファクターとなる要素として、ランニングフォームが取り上げられました。
ハムストリング損傷のリスクファクターは、いくつもの研究が試みているものの、なかなか明確にならない難題ですが、
そんな中で、今回の研究はランニングフォームをリスクファクターとする可能性を示唆した点で面白い研究だと思います。
ただ、既往歴とランニングフォームとの関係性に関しては、明確にはなりませんでした。
ただし、この研究にもいくつかの注意点があります。
まずそもそも論ですが、 この論文が載っている「Gait & Posture」という雑誌の影響力があまり高くない、つまり信頼性にかける点です。
Scimago Jounal & Country Rankingのランキングを参考にすると、Gait & Postureの影響力はSports medicine分野で第38位なので、謎の怪しい雑誌ではないですが、トップレベルの雑誌とは言い難い感じです。
また、今回の発見であるランニングフォームがハムストリング損傷のリスクとなるデータはサンプル数が4名のデータなので、
いくら有意差が出ているらと言っても、バイアスの匂いがほんのり香ります。
あと、今回はアマチュア選手でしたが、違う対象者ならどうなるのか。
例えば、プロサッカー選手なら?ユース世代なら?
という考慮はする必要があると思います。
参考文献
Schuermans, J., Van Tiggelen, D., Palmans, T., Danneels, L., & Witvrouw, E. (2017). Deviating running kinematics and hamstring injury susceptibility in male soccer players: Cause or consequence? Gait and Posture, 57, 270–277. https://doi.org/10.1016/j.gaitpost.2017.06.268
サッカー関連の研究が集う学会「Football Medicine」の発表5選
今回の学会のお目当ての紹介
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Roald Bahr, Martin Hagglund, Phil Glasgowを一目かかる
-
行き詰まってる感が強い怪我予防の分野について専門家はどう考えているのか
-
他に面白い研究している大学と教授を探す
-
とりあえず学会デビューしとく
- ウェンブリー・スタジアム \( ˆoˆ )/
ACL再建後に復帰できるか否かはメンタルの問題?
足首の内反不安定性は、ほとんどCFLで決まる。
トレーニング負荷の「Acute:Chronic比」はそれなりに有効
- Acute負荷:側近1週間程度(3〜10日間)の平均トレーニング負荷
- Chronic負荷:側近4週間程度(3〜5週間)の平均トレーニング負荷
しかし、怪我との関係性を説明するには不十分
Acute:Choronic比が高いと怪我のリスクが高くなるのなら、
確かにプレシーズンのトレーニング回数が多い方が怪我のリスクは引くい傾向が見られ、有意差は出たていました。
-
有酸素性能力(VO2max)が高い
-
下肢の筋力が高い
- Acute負荷とChronic負荷の期間をどう設定するべきか
- 側近1週間のデータ(Acute負荷)は、Chronic負荷の中に含むべきか。
- トレーニング負荷は、総走行距離のデータを用いればいいのか、高強度運動の距離・頻度などのデータを利用するべきか。
ツール・ド・フランスの選手はレース期間中にカーボ・ローディングする
番外編。
スポーツマッサージの血圧への効果|エビデンス・論文・高血圧
論文概要
研究デザイン
Swedish Massage とは?
結果
統計的有意差
まとめ
マッサージは血圧に直接的に働くのか、間接的に働くのか。
参考文献
- Green, B., Bourne, M. N., & Pizzari, T. (2018). Isokinetic strength assessment offers limited predictive validity for detecting risk of future hamstring strain in sport: a systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine, 52(5), 329–336. https://doi.org/10.1136/bjsports-2017-098101
- Massage (Apr. 6, 14:00 CET). In Wikipedia: The Free Encyclopedia. Retrieved from https://en.wikipedia.org/wiki/Massage#Swedish_massage
筋肉の代謝障害|筋痙攣、DOMS、マッカードル病、CPT欠損症
皆さんどうもこんにちは。
スポーツをしてる以上筋肉に高い負荷がかかってしまうことは避けられません。
またそれによって足が釣ったり筋肉痛が起こってしまうことも同じく避けられません。
足がつるクランプや筋肉痛といった筋肉のトラブルは非常に一般的に起こるためにかなりの頻度で対応していかなくてはいけません。
国際サッカー連盟であるFIFAは、FIFAディプロマというオンラインコースを行っており、
そこでは、サッカーにおけるありとあらゆる症状に対するトレーナーの対応ガイドラインが学べるようになっています。
というわけで今回は、
FIFAのガイドラインに沿って、筋肉の痛みの原因とその対処法について解説していきます。
ここでは肉離れなどの怪我以外の原因で起こる筋肉の痛みについて解説していきます。
筋痙攣(クランプ)の概要
筋痙攣は一般的に足がつった状態です。
英語ではMuscle crampsと言い、ここではクランプと呼びます。
よくご存知だと思いますが、クランプはいつも以上の負荷が筋肉にかかったことによって起こります。
練習よりも試合で起こりやすい傾向があるのはそのためです。
クランプが起こる主な原因には遺伝的要因や年齢巾広などが言われていますがエビデンス的にはまだはっきりとしないというのが現状です。
水分補給や炭水化物の摂取によって予防効果が認められることから電解質のアンバランスが原因だと考えられていましたが、
電解質のアンバランスが直接的な原因になるというエビデンスは少く、現状考えにくいと言われています。
また、 腓腹筋、ハムストリング、大腿四頭筋などの二関節筋で主に起こると言われています。
筋痙攣(クランプ)の診断・対応・予防
筋痙攣(クランプ)の診断
クランプの診断に関しては、 FIFA のガイドラインにも特に細かくは載っていません。
というのもクランプは、選手の状態を見て明らかに診断可能であろうということでしょう。
筋痙攣(クランプ)の対応
クランプの対応は基本的には、速やかにつっている筋肉のストレッチを行うということです。
またこの時に、拮抗筋の収縮を加えることによって相反抑制を利用することも効果的だとされています。
しかし一度なってしまったクランプに対応する事は難しく基本的には交代する必要がある、という風にされています。
筋痙攣(クランプ)の予防
クランプが一度なってしまうと対応が難しいことを考えると、クランプへの対策は予防が生命線となります。
対応方法は主に三つです。
- 試合と同じ負荷でトレーニングを行う。
- 試合中こまめにパッシブストレッチを行う。
- 炭水化物の補給
炭水化物の補給は、電解質のアンバランスを防ぐ意味での効果はエビデンスでは肯定されていませんが、筋疲労の軽減による影響は示唆されており、
このガイドラインでも、 積極的に摂取することが勧められています。
遅発性筋痛の概要
遅発性筋痛とは、いわゆる筋肉痛のことです。
正式名では遅発性筋痛または DOMS といます。
遅発性筋痛は、主に12時間後に痛みが表れ、1日から2日後にピークを迎えます。
しかしこれは年齢やトレーニングの負荷と量によってかなり変わります。
基本的にはエキセントリック収縮や慣れないエクササイズを行うことによって起こりやすいとされています。
ですがこれもクランプと同じく、エビデンスはあまり整っていないという印象があります。
遅発性筋痛の診断・対応・予防
遅発性筋痛の診断
遅発性筋痛は肉離れとの診断区別が重要です。
遅発性筋痛の症状は疼痛、圧痛、腫脹・肥大、柔軟性・筋力の低下など肉離れと似たような症状がありますか、
遅発性筋痛では筋組織の実の損傷がため数日程度で回復しますが、肉離れの場合は筋膜も損傷しているため最低でも2週間程度の期間がかかります。
遅発性筋痛の場合は、基本的にはドクターなどの詳細な診断はもちろん必要ありません。
CKは有用か。否か。
筋肉のダメージの指標となるクレアチンキナーゼは研究分野でもかなり重宝されており、遅発性筋痛の程度を測るのにも、よく使われます。
しかし、しっかりと条件を整える必要があり、スポーツ現場で実用的に使うことは難しいのではないかとされています。
遅発性筋痛の対応
遅発性筋痛の対応は基本的には痛みへの対処療法となります。
主にマッサージやストレッチが効果的と考えられています。
アイスバスなどによるアイシングは現場で長らく使われていますが、
FIFAはこれを肯定するエビデンスは少ないとしています。
ですが、2018年に発表された運動後の疲労回復に関するシステマティックレビューでは、 マッサージが最も効果が高く、 アイシングも疲労回復に効果的であるという研究結果が出ています。
一方そこでは、ストレッチによる疲労回復効果は否定されています。
これについては以下の記事をどうぞ。
医学的原因による筋痛の概要
クランプや遅発性筋痛以外にも突発的に筋肉に痛みが出る症状はあります。
これはまとめて、Muscle pain、日本語に訳すと筋痛と定義しています。
ここで言う筋痛とは、代謝的障害や自己免疫状態、神経的状態などの医学的な状況における筋活動の障害とそれによる筋肉の痛み定義されています。
筋痛は、遺伝的な原因が多いため本来持っていた疾患があるタイミングで現れたという形が多く、突発的に起こるクランプや遅発性筋痛などに比べると発症率は低いですが、
サッカーの現場において大いに起こり得て、対応しなくてはならない障害です。
FIFA のガイドラインではマッカードル病とカルニチンパルミトイル基移転酵素欠損症の2つが挙げられています。
マッカードル病とCPT欠損症の概要
マッカードル病
マッカードル病はグリコーゲン代謝がうまくできないことによる筋活動の障害と筋肉の痛みが起こる病気です。
メカニズムとしては、
筋肉に取り込めたグリコーゲンの最初の反応であるグリコーゲン→グリコース-1リン酸の反応を触媒するグリコーゲンホスホリラーゼが欠損することによって起こります。
マッカードル病の症状
マッカードル病では、クランプや遅発性筋痛と違いトレーニング開始後すぐにクランプや筋肉の痛みが現れるのが特徴的です。
他には運動を終えた後にsecond-wind phenomenon と言う現象が起こることが挙げられます。
Second-wind phenomenon
セカンドウィンド phenomenon とは、運動後にランニングハイのような疲労を感じない状態が起こることです。
これが起こる原因はあまりはっきりとされていませんが、マッカードル病において起こるメカニズムとしては、エネルギー需要の低下によって脂質の供給が間に合うようになったことが考えられています。
カルニチンパルミトイル基転移酵素欠損症の概要
マッカードル病がグリコーゲン代謝の障害であったに対して、 CPT 欠損症は脂質代謝の障害です。
メカニズムとしては、
長鎖脂肪酸を細胞内に取り込む際に必要な アシルカルチニンの合成ができなくなることにより、長鎖脂肪酸をエネルギー利用できなくなることが原因です。
しかし多くの中鎖脂肪酸や短鎖脂肪酸は、自身で細胞膜を通過できるためエネルギー利用することが可能です。
CPT 欠損症の症状
CPT 欠損症は主にトレーニング開始から30分後程度で起こります。
これもクランプや筋肉痛に比べると早い段階で症状が現れることになりますが、
マッカードル病とは違い、リコーゲン代謝によってエネルギー供給ができている間はあまり症状が起きません。
また、運動を止めても同じく脂質代謝によってエネルギーが利用できないため、症状が続きます。
医学的原因による筋痛の診断・対応
筋痛の診断はまず選手の問診を行うことが重要です。
突発的に起こるものではないので、疼痛の場所という発言を明確にし発症した原因を明らかにすることが重要です。
またミオグロビン尿というコーラ色の尿が出ていないか、
遺伝的な要因も考えられるため本人や家族の既往歴を聞くことも重要です。
医学的な原因による筋痛の診断にはForearm ischemic testが使われます。
これは、前腕の筋収縮の前後での血液的指標を採取して、代謝障害を検査するテストです。
また MRI によって診断可能な症状もあります。
医学的原因による筋痛の対応
緊急の対応としては、基本的には徐々に運動強度を上げていき対応可能な運動負荷の対応を上げていくことになります。
ガイドラインでは重症の場合は、神経外科を利用することが勧められています。
まとめ
以上がスポーツ現場で起こる筋肉の痛みの種類と対応でした。
目新しい話はなかったかもしれません。
というのも、クランプや筋肉痛などの一般的なことですが、 明確に代謝的メカニズムが分かっているわけではないので、
その対応に関してもまだ不透明なところが多いという印象です。
ですが基本的に、筋疲労を防ぐことが直接的または間接的に影響してくることは確かで、
そのためにはマッサージや炭水化物の補給、アイシングやストレッチなどの方法を用いることは効果的だと考えられます。
以上です。
ハム肉離れに予防・リハビリはどれぐらい効くのか?【論文レビュー】
論文概要
研究方法
対象研究
-
筋力によるハム損傷のリスク
-
トレーングによるハム損傷のリスクへの影響
-
トレーニングによるハムの筋活動
-
トレーニングによるハムストリングの構造的な適応
結果
予防トレーニングの効果
-
エキセントリックトレーニング
-
伸長位でのトレーニング
リハビリの効果
-
従来型のコンセントリック中心のプロトコル(C-protocol)
-
エキセントリック中心のプロトコル(L-protocol)
トレーニングによる筋電図の違い
-
股関節伸展によるトレーニング:大腿二頭筋が主に活動
-
膝関節屈曲によるトレーニング:半腱様筋が主に活動
筋肉の長さによる影響
筋束の長さはトレーニングで変えられる?
まとめ
参考文献
-
Timmins RG, Ruddy JD, Presland J, et al. Architectural changes of the biceps femoris after concentric or eccentric training. Med Sci Sports Exerc. 2015;48(3):499–508.
-
Duhig S. Hamstring Strain Injury: effects of high-speed running, kicking and concentric versus eccentric strength training on injury risk and running recovery. 2017 [doctoral thesis]. Queensland University of Technology, QUT ePrints; 2017.
-
Timmins R, Bourne M, Shield A, et al. Short biceps femoris fascicles and eccentric knee flexor weakness increase the risk of hamstring injury in elite football (soccer): a prospective cohort study. Br J Sports Med. 2015;50(24):1524–35.
サッカートップチームでのトレーニング負荷の管理についての調査
研究概要
トレーニング負荷の管理方法
トレーニング負荷管理の目的
現場が感じる重要性は?
まとめ
参考文献
- Weston, M. (2018). Training load monitoring in elite English soccer: a comparison of practices and perceptions between coaches and practitioners. Science and Medicine in Football, 2(3), 1–9. https://doi.org/10.1080/24733938.2018.1427883
アクティブリカバリーは翌日の疲労感に悪影響を及ぼす
- 論文概要
- そもそもアクティブリカバリーのメカニズムって?
- 筋グリコーゲンの合成への効果
- 遅発的筋痛への効果
- パフォーマンスへの効果
- ストレッチ・フォームローラーによる効果
- トレーニング後のケアのシステマティックレビュー
- まとめ
- 参考文献
論文概要
研究デザイン
そもそもアクティブリカバリーのメカニズムって?
-
筋グリコーゲンの合成
-
遅発的筋痛(DOMS)
-
運動パフォーマンス
筋グリコーゲンの合成への効果
遅発的筋痛への効果
パフォーマンスへの効果
ストレッチ・フォームローラーによる効果
トレーニング後のケアのシステマティックレビュー
まとめ
参考文献
-
Van Hooren, B., & Peake, J. M. (2018). Do We Need a Cool-Down After Exercise? A Narrative Review of the Psychophysiological Effects and the Effects on Performance, Injuries and the Long-Term Adaptive Response. Sports Medicine, 48(7), 1575–1595. https://doi.org/10.1007/s40279-018-0916-2
トレーニング後のケア、結局何がベストなの?【エビデンス】
研究概要
研究デザイン
研究結果
-
アクティブリカバリー
-
コンプレッションウェア
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マッサージ
-
水浴
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交代浴
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クライオセラピー
DOMS・主観的疲労感
-
青:アクティブリカバリー
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赤:マッサージ
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緑:コンプレッション
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紫:水浴
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黄:クライオセラピー
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水:電気的治療
-
橙:ストレッチ
遅発的筋痛(DOMS)への効果
主観的疲労度
炎症マーカー
アクティブリカバリーの効果
マッサージの効果
マッサージ×ストレッチの相乗効果
まとめ
参考文献
-
Dupuy, O., Douzi, W., Theurot, D., Bosquet, L., & Dugué, B. (2018). An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis. Frontiers in Physiology, 9, 403. https://doi.org/10.3389/fphys.2018.00403
- Van Hooren, B., & Peake, J. M. (2018). Do We Need a Cool-Down After Exercise? A Narrative Review of the Psychophysiological Effects and the Effects on Performance, Injuries and the Long-Term Adaptive Response. Sports Medicine, 48(7), 1575–1595. https://doi.org/10.1007/s40279-018-0916-2
下肢の筋力はハムストリング肉離れのリスク因子ではないと!?
研究概要
結果
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ハムストリング、大腿四頭筋、股関節屈曲筋群
-
様々な角速度
-
コンセントリック、エキセントリック
現状エビデンスレベルの評価
-
Strong
-
Moderate
-
Limited
-
Conflicting
-
No evidence
エビデンスレベルの評価結果
-
ハムストリングでは、エキセントリックでの遅い角速度での収縮。
-
大腿四頭筋ではコンセントリックエキセントリック含めた全角速度
-
HQ 比ではコンセントリック同士、エキセントリック同士の比較における全角速度。
-
HH 比ではコンセントリックでの速い角速度での収縮。
-
ハムストリングでは、エキセントリック収縮の 30°毎秒と240°毎秒
-
HH比は、コンセントリックでの速い角速度での収縮とエキセントリックの全角速度
-
HQ 比のファンクショナルでの全角速度
個人的見解
参考文献
- Green, B., Bourne, M. N., & Pizzari, T. (2018). Isokinetic strength assessment offers limited predictive validity for detecting risk of future hamstring strain in sport: a systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine, 52(5), 329–336. https://doi.org/10.1136/bjsports-2017-098101
T検定のP値とは何を意味しているのか?|統計学・有意差
P値とはズバリなんなのか。
一旦オフィシャルに説明
噛み砕いた説明
ヤンキーの勢力争いをT検定で解決しよう。
-
本当に2人の間に差がないのか
-
やっぱり都会ヤンキーのほうが強いのか。
ヤンキー・T検定の戦い
ヤンキーの実力差をT検定で比べてみた。
またここでは、Aの方が強い可能性を調べる片側検定で考えています。
なぜT検定をする必要なのか。
P値の判断
0.05の場合は「どうなのかはわからない」としか言えないと言うことが非常に重要です。
P=0.05とは何を意味しているのか。
0.05は研究者間のただの暗黙の了解?
逆に差がない。ということは証明できない
まとめ
骨癒合に要する期間|リモデリング・仮骨・軟骨細胞・骨芽細胞
骨癒合のタイムスケール
長骨の骨癒合のタイムスケール
- 炎症反応
- 繊維軟骨の形成
- 仮骨の形成
- リモデリング
炎症反応
繊維軟骨の形成
仮骨の形成
リモデリング
骨への血液供給による影響
まとめ
-
部位によって治癒期間は全然違う。
-
最初の2週間で炎症が起き、血腫ができる。
-
その後、4週間程度かけて、仮骨が形成される。
-
6週間後からは、リモデリングが始まる。
骨折の種類と要する期間|疲労骨折・骨端板・骨軟骨症・指・手
骨折の種類
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開放 or 閉鎖による分類
-
折れ方による分類
-
その他の骨折
開放 or 閉鎖による分類
折れ方による分類
- 横骨折
- 斜骨折
- 螺旋骨折
- 粉砕骨折
- 亀裂骨折
- 圧迫骨折
その他の骨折
子供によく見られる
骨端の損傷
骨端板の骨折
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Type Ⅰ:骨端板のみが骨折するパターン
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Type Ⅱ:骨幹からの骨折が骨端板に達するパターン
-
Type Ⅲ:骨端板から骨端に達するパターン
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Type Ⅳ:骨幹から骨端板を含んで骨端まで達するパターン
-
Type Ⅴ:骨端板を圧迫するパターン
骨軟骨症
疲労骨折
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局所的な圧痛と疼痛
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腫れ
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違う部分を押して痛む
疲労骨折のリスクが高まる状況
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扁平足
-
Morton’s toe(第一中足骨が短い)
-
MP関節の過剰な可動性
まとめ
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開放・閉鎖骨折、疲労骨折、亀裂骨折、剥離骨折、疲労骨折など
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子供では、若木骨折が起こることがある。
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また、骨端線の骨折もこどもでは考慮が必要。
ハムストリング肉離れのリスクファクター【最新エビデンス】
論文概要
対象研究とデザイン
研究結果
-
年齢
-
既往歴
-
大腿四頭筋の最大筋力
年齢増加の影響
年齢増加の影響に対する注意点
既往歴の影響
他の怪我の既往歴によるハムストリング損傷リスク
大腿四頭筋の最大筋力の影響
まとめ
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既往歴は、異質性も低く直接的なリスクファクターと言っても大丈夫そう。
-
年齢もリスクファクターであることは確かだから、因果関係は分からない。
-
筋力や柔軟性に関しては未だ意見が分かれる。
まだまだ分かっていないことしかない
参考文献
-
Freckleton, G., & Pizzari, T. (2013). Risk factors for hamstring muscle strain injury in sport: A systematic review and meta-analysis. British Journal of Sports Medicine, 47(6), 351–358. https://doi.org/10.1136/bjsports-2011-090664
-
Verrall GM, Slavotinek JP, Barnes PG, Fon GT, Spriggins AJ. Clinical risk factors for hamstring muscle strain injury: a prospective study with correlation of injury by magnetic resonance imaging. Br J Sports Med. 2001;35(6):435-440.
-
Orchard JW. Intrinsic and extrinsic risk factors for muscle strains in Australian football. Am J Sports Med. 2001;29(3):300-303.
-
Malliaropoulos N, Isinkaye T, Tsitas K, et al. Reinjury after acute posterior thigh muscle injuries in elite track and field athletes. Am J Sports Med 2011;39:304–10.
-
Verrall GM, Slavotinek JP, Barnes PG, et al. Assessment of physical examination and magnetic resonance imaging findings of hamstring injury as predictors for recurrent injury. J Orthop Sports Phys Ther 2006;36:215–24.
-
Van Dyk, N., Bahr, R., Burnett, A. F., Whiteley, R., Bakken, A., Mosler, A., … Witvrouw, E. (2017). A comprehensive strength testing protocol offers no clinical value in predicting risk of hamstring injury: A prospective cohort study of 413 professional football players. British Journal of Sports Medicine, 51(23), 1695–1702.
筋組織・神経組織の治癒に必要な期間|再生・修復・回復
筋組織の治癒
筋組織治癒のタイムスケール
神経組織の治癒
神経治癒のタイムスケール
まとめ
-
筋組織は、衛星細胞によって再生によって3~4日程度で再生可能
-
しかし、筋膜の損傷によって再生は阻害され、6~8週間かかる。
-
神経は、損傷部位が近位であるほど再生に時間がかかる。