筋トレ後のプロテインは実際どれくらい効果があるのか。最新科学で解く。
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筋トレをした後にプロテインを飲むと筋肉増強を助けることは皆さんよく知っていると思いますが、
実際、プロテインを飲むことでどれくらい効果が高まっているのか?
と言われると、なんとも言えないのではないでしょうか。
ということで今回は、システマティクレビューという最もエビデンスレベルの高い論文を引っ張ってきて、
この「プロテイン本当に効いているの??」問題に白黒をつけようと思います!!
論文紹介
今回、参照する論文は、カナダのマックマスター大学を中心とする研究チームが発表した、
「A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults.」
訳すと、
「レジスタンス運動によって起こる筋量と筋力の増加に対するプロテイン摂取の効果のメタ分析、メタ回帰およびシステマティックレビュー」
という論文の研究結果を見ていきます!
システマティクレビューという研究の手法をご存知でしょうか。
これは、あるテーマに沿ってこれまで発表された論文を集めて、その中で(研究方法などが)比較可能な論文の結果を比較することでこれまでの研究の結論を出そうと言う論文の手法です。
これは、様々な研究方法の中でも最もエビデンスレベルが高く信頼できるエビデンスとされています。
研究方法
前述したように、システマティクレビュー、つまり、これまでの研究論文をかき集めて比較した論文です。
どのような研究論文を集めたのかと言うと、
⑴全員に6週間以上のレジスタンストレーニングをしてもらう。
⑵その後、プロテイン群とコントロール群の2群で比較する。
プロテイン群→プロテインを摂取してもらう。
コントロール群→何も摂取しない。or プラセボを飲んでもらう。
というような研究を行なった論文を集めて比較しました。
論文の結果
それでは、この論文から得られた研究結果を発表していきます。
まず、プロテイン群がコントロール群より高い値になったもの、つまり、この論文でプロテインの効果が認められたものは、
- 最大筋力(1RM)
- 筋肉の重さ(除脂肪体重)
- 筋肉のサイズ(筋断面積)
の3つでした。
加えて、プロテインの効果は、
- 高齢者< 若者
- トレーニング初心者 < トレーニングに慣れている人
- 体重あたり約1.62g以上のプロテインを1日にとってもあまり効果は上がらない。
ということも明らかになりました。
つまり、
「プロテインの効果は実際にある。ただ、高齢者とトレーニング初心者には効果が薄くなる。そんでもって、飲めば飲むほどいいわけじゃないよ!」
ということをこの論文は明らかにしました。
パチパチ。。。。。
ですが。
だからと言って、万人にプロテインが効くのか?と言われると、それは必ずしもそうとは言えません。
研究というのは、あくまでも「平均値」を比較しているので、プロテイン飲めばそうなる!というモノではないんです。
では、実際はどれぐらいの人にプロテインが効くのか?というのを論文のデータから考察していきます。
実際、どれくらいの人にプロテインは効果的だったの?
早速ですが、上のグラフはプロテインの除脂肪体重、つまり筋量へのプロテインの効果を研究ごとにプロットしたものです。(黒い点が平均値、棒が結果の振れ幅です。)
右に行けば行くほど、プロテインを飲んだことでより筋トレの効果が高くなった、
一方で、左に行けばプロテインを飲まない方が筋トレの効果がうより高くなった、
ということを意味しています。
見てもらうと分かる通り、
棒の振れ幅が左側、つまり、プロテインを飲まない方がより筋トレ効果が高くなったという方にも殆どの論文がある程度は被っています。
中には、平均値がそっち側にある論文もいくつかあります。
つまり、これが示唆するのは、
人によっては、プロテインを飲まない方がトレーニング効果が高くなっちゃうことがある。
ということなんです。
こちらのグラフは年齢が上がると筋量の増加へのプロテインの効果がなくなって行くということを示したものです。
(点は各論文の平均値をプロットしたもの。丸のサイズはその論文の被験者数。)
確かに、平均値を見ると、
20~30代の若年層はプロテインを飲むと500gより多く筋肉をつけることができて、70代の高齢者には殆どそのメリットはないと言えますが、
よく見ると、グラフの左下に20代にも関わらずプロテインを飲むと600gほど筋肉がつきにくくなったという論文もあるわけです。
プロテインを飲んで逆効果になる訳がないじゃないか!!??
いくら個人差があるといっても、プロテインを飲んでむしろ筋肉がつくにくくなる人がいたらそれは宇宙人か何かに違いない!!
と考える人もいるかもしれません。
確かに、プロテイン逆効果説の研究に集まった被験者に宇宙人が混じっていた可能性も科学的に否定はできませんが、
それ以外に、もっと可能性がある説明はあります。
それは例えば、食欲です。
つまり、プロテインを飲んだことによって食欲が落ちて、その後の食事が少なくなり、総合的に見れば摂取カロリーが不十分になってしまった可能性は考えられます。
特に、最近のプロテインは元々の目的となるタンパク質だけでなく、タンパク質の吸収効率を高める目的で炭水化物も含まれているものが殆どです。
(物によっちゃ、これ炭水化物の方が多いやん!なんてこともあります。)
となると、
炭水化物を摂取すると血糖値が上がる。
→血糖値が上がると、インスリンが発動する。
→インスリンが発動すると、レプチンが発動する。
→レプチンが発動すると、満腹中枢が刺激されて、お腹が膨れる。
ということが平均して30分ぐらいで起こるので、
プロテインを飲んで家に帰った頃にはお腹膨れちゃって、食事が疎かになるということも十分に有り得る訳ですね。
(科学的ではないので省きましたが、まずいから食欲が下がるってのもあるでしょうね。)
つまりは、自分に合うならプロテイン飲みましょう。
プロテインは効果ありましたよって言ったと思えば、いやけど食欲下がる可能背もありますよ。みたいな謎の展開にして、何が言いたいんだよ。
というのは、ごもっともな意見です。
つまり自分が言いたかったのは、プロテインの効果一個にしても個人差があるということです。
もちろん、システマティックレビューというエビデンスレベルの高い論文で効果が認められているので、プロテインを試してみる価値は十分にあると言えます。
ですが、いくら信頼できる論文も、「万人に効く」とは言ってないので、
みなさん、「絶対に効く〇〇」みたいなニセ科学に騙されないようにしましょう。
・参考文献
Morton, R. W., Murphy, K. T., McKellar, S. R., Schoenfeld, B. J., Henselmans, M., Helms, E., ... & Phillips, S. M. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training-induced gains in muscle mass and strength in healthy adults. Br J Sports Med, bjsports-2017.