炭水化物は体に悪!?とか言う記事をぶった切る。
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とある「糖質は悪」という記事を見て、私は非常に苛立ちを隠せませんでした。
その記事がこちら。
自分も大学を卒業したばかりのペーペー専門家ですが、そんなペーペーですらも
この記事を書いた人は元ネタの論文をちゃんと読んでいないのでは?
と思う内容でした。
最近は、フェイクニュースと言う言葉が流行りに乗っているように、マスコミという仕事は事実に忠実でなければならないと思ので、
今回は、苛立ちに任せて、こちらの記事をぶった切っていこうと思います。
記事の概要
このフェイク記事問題の発端は、「THE LANCET」という雑誌に掲載された、
「Associations of fats and carbohydrate intake with cardiovascular disease and mortality in 18 countries from five continents (PURE): a prospective cohort study」
(心疾患と死亡率に対する脂質摂取と炭水化物摂取の関係性)
という論文です。
この論文では、5大陸18カ国の人々を対象に炭水化物の摂取量と脂質の摂取量が心疾患のリスクや死亡率にどのように関係しているのか。
特に、摂取を制限した時にどのような効果があるか、ということを調べた論文です。
対象者を炭水化物・脂質の摂取量が
- ①少ない
- ②やや少ない
- ③普通
- ④やや多い
- ⑤多い
の5つのグループに分けて、①少ないグループとその他の各グループを比べています。
それで、他のグループより炭水化物の摂取量が少ない人の方が健康的だろ。ということを明らかにしようという試みの論文です。
そして、この記事がこの論文から解釈した結論が以下です。
- 炭水化物摂取量の多さは全死亡リスク上昇と関連
- 総脂質量および脂質の種類別の摂取は全死亡リスクの低下と関連
- 総脂質量および脂質の種類は、心血管疾患(CVD)、心筋梗塞、CVD死と関連していない
- 飽和脂肪酸は脳卒中と逆相関している
では、記事の中から抜粋して、ぶった切っていこうと思います。
出ているという結果がまず出てない。
この研究では、「炭水化物の摂取量が60.8%以上の群では、死亡率が上昇する」という結果が出ています。
この結果、出てません。
最も炭水化物の摂取が少ないグループ(①)とその他のグループを比べてる訳なのですが、
①より確かに死亡率が高くなったグループは、炭水化物の摂取が最も多いグループ(⑤)だけで、グループ⑤の人とは、炭水化物の摂取量が74.4~80.7%の人たちです。
考察のところで、
we found that high carbohydrate intake (more than about 60% of energy) was associated with an adverse impact on total mortality and non- cardiovascular disease mortality.
とあるのですが、
(more than about 60% of energy)に関しては今回の論文で有意な差が明らかにされていないので、筆者の予想ということになります。
そして、論文の中において筆者の個人的な予想は1ミリの説得力もありません。
それが科学というものです。
そもそも、炭水化物の制限がかなり軽い
さらなる問題は、
グループ①がとっている炭水化物が制限された食事が、炭水化物を42.6~49.0%も含んでいるということです。
平均の炭水化物の割合は約60%です。同時に食事摂取基準も炭水化物の割合は60%を推奨しているわけですが、
それに対して、炭水化物を制限したグループの炭水化物の割合は45%です。
「炭水化物、制限するんや!!」と言って、お茶碗の3/4までご飯をよそう人がどこにいるでしょうか。
それは、炭水化物の制限ではありません。プチダイエットです。
健康になるのもおかしくないでしょ。笑
炭水化物を多く摂取すると死亡率が高い≠炭水化物の制限は健康的
先ほどの説明は、自分の主観が入っていたので完璧ではありません。
なぜなら、プチダイエット程度の炭水化物の制限でも効果が出るのかもしれないからです。
ですが、よく考えてみてください。
この論文の結果から確かに分かったことは、死亡率が「摂取が少ない人 < 摂取が多い人」であることです。
これは、
少ない摂取が良かったのかもしれないし、
多く摂取することが悪かったのかもしれない。また、両方かもしれない。
そんな、各それぞれのパターンの時、グラフは下のようになります。
さて、実際のグラフはどうでしょう。
これも、主観が挟まるので断定はできませんが、炭水化物の制限が良いというよりは、「過剰な摂取が悪」が正しいような気がしないでしょうか。
論文を読む時に感情を挟むな。
このことは一般の人には衝撃的かもしれませんが、糖質制限食を推進してきた私からしますと、「日頃の主張がとうとう証明された」という印象です。
記事の冒頭ですが、自分がこの記事に違和感を覚えたのはここからです。
今回のような、論文の解釈がおかしくなってしまう原因は何かっていうと、これです。
感情を挟んで論文を読むこと。
もちろん、自分の意見はあるので気持ちは良くわかりますが、
論文は部分的に読むと、かなり幅広いく解釈できてします。
なので、「こんな結果が欲しいな。」って思いながら読むと、実はその実験データは自分が欲しい結果とは少しずれているけど、「これだ!」みたく、拡大解釈してしまうものです。
例えば、会社Aと会社Bを比べた時に会社Aの方が労働時間は短いけど業績がいい。ってなると、
「労働時間は短い方がいいじゃん!」って思いませんか?
その裏側には、会社Aのターゲット市場が伸び盛りで、労働時間を短くしても会社を維持できる、というだけなのかもしれません。
論文を読む時には、常に賛否両方の立場に立ちながら読まないといけないのです。