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骨癒合に要する期間|リモデリング・仮骨・軟骨細胞・骨芽細胞

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骨折とは一言に言っても、その折れ方によって剥離骨折疲労骨折などいくつかの種類に分かれます。
 
 
骨折の種類に関しては、以下の記事にてまとめています。
 
骨と同じ結合組織である靭帯などの治癒過程は、血管や細胞の反応スピードによってある程度決まっているため、ほとんど同じタイムスケールで進んでいきますが、
骨折の治癒期間はこれらの折れ方などで大きく変化していきます。
 
というわけで今回は、
骨癒合のメカニズムとそれに要する期間について解説していきます。
 
 
 
 

骨癒合のタイムスケール

 
それでは、骨折はどのようにして治るのか。 
 
まず、骨癒合のタイムスケールは骨折の種類や部位、損傷サイズによってまちまちです。
手の骨の場合は、骨折のサイズが比較的小さく3週間程度で回復しますが、複雑な骨折の場合は2~3年かかる場合もあります。
 
ここでは、一般的な長骨の骨折を例に説明していきます。
 
 

長骨の骨癒合のタイムスケール

 
骨癒合は、おおよそ以下のようなステップで進んでいきます。
  • 炎症反応
  • 繊維軟骨の形成
  • 仮骨の形成
  • リモデリング
 
炎症反応
骨折が起きて最初の2週間は、他の組織と同様に出血による炎症反応が起きます。
出血によって、白血球やマクロファージが損傷部分に集まり、炎症を消散させます。そして、血栓・血餅が形成されます。
ここまでは、一般的な組織の治癒過程と同じメカニズムによって進みます。
 
 
繊維軟骨の形成
続いて、損傷後3週間程度で軟骨芽細胞が働き始め、柔らかい繊維軟骨を作り上げます。
つまりこの軟骨芽細胞は、結合組織でいう線維芽細胞にあたる細胞です。
 
繊維軟骨は軟骨と同様の構造をしており、コラーゲン繊維を主に含んでおり非常に柔らかい組織です。
そんため、骨本来の役割を担うにはまだ程遠い段階です。
 
 
仮骨の形成
損傷後から3~6週間後に間に、繊維軟骨にカルシウムが加わることで徐々に固くなっていき、仮骨が形成されます。
 
この段階で骨の形状は再生されますが、まだ骨としての強度は十分ではありません。そのため、仮骨が完全に完成するまでは固定が必要です。
 
 
リモデリング
6週間以降は、仮骨に骨芽細胞破骨細胞が入り骨のリモデリングを行います。
 
リモデリングを経て、骨本来の強度を取り戻すことができます。
この期間は短くて2週間、長いと年単位でかかる場合があります。
 
また、骨の強度は適切な強度をかけることで適切にリモデリングされていきます。
この、負荷に対して骨がリモデリングされていく法則を「ウォルフの法則」と言います。
 
 

骨への血液供給による影響

骨癒合に関わる重要な要素に骨への血液供給があります。
 
骨は密な構造をしていることから、他の組織のように血管が張り巡らされているわけではありません。
特に、大腿骨頭手の舟状骨などでは血液供給が少なく、それらの部位では骨癒合にかなり時間を要する、またはほとんど起きないと言ったことが起こり得ます。
 
骨癒合が起きないと、血液供給がない部分は虚血性壊死という症状に陥ります。
そのため、これらの部位での骨折には注意が必要です。
 
若年層では、虚血性壊死は大腿骨頭ではあまり起こりません。
 
 

まとめ

以上が骨癒合のメカニズムとそれに要する期間でした。
  • 部位によって治癒期間は全然違う。
  • 最初の2週間で炎症が起き、血腫ができる。
  • その後、4週間程度かけて、仮骨が形成される。
  • 6週間後からは、リモデリングが始まる。
 
以上です!
 
 
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