骨組織の血液供給|栄養動脈・骨端動脈・骨幹端動脈・ハバース管
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骨折などの外傷が起こると、損傷部位に血液が集中し、白血球やマクロファージといった細胞が組織の炎症を消散することで次の治癒段階へと組織の修復・再生を進めることができます。
骨組織は、他の結合組織と違い骨癒合という独自の治癒過程によって再生を行いますが、
損傷部位が炎症し、その後血腫によって炎症が消散される過程は他の結合組織と同じ過程によって行われます。
つまり、骨組織の再生にも血液が必要です。
そのため、骨組織の血液供給によって治癒過程は左右されます。
というわけで今回は、
骨組織における血液供給について解説していきます!
ハバース管とフォルクマン管
骨組織の大部分は、緻密質な皮質骨と多孔性の海綿骨によって構成されています。
多孔性の海綿骨では、空洞をとって血管が通っており、血液を供給することができます。
一方で、緻密質な皮質骨では、ハバース層板と介在層板が緻密に並んでおり、
血液が自由に通る隙間はありません。
そのため、皮質骨部分にはハバース管とフォルクマン管という2つの空洞が存在し、その中を血管と神経が通れるようになっています。
詳しい骨組織の微小構造の話は以下の記事を参照ください。
栄養動脈と骨膜動脈と骨端動脈
骨組織に血液を供給する動脈は以下の3つに分類されます。
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栄養動脈
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骨膜動脈
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骨端・骨幹端動脈
栄養動脈
栄養動脈は、骨全体に血液を供給する動脈です。
影響動脈は、栄養孔という通路から皮質内に入り、
フォルクマン管を通じてより内側に、
ハバース管を通じてより長軸方向に血液を供給していきます。
そして、最終的には骨内膜や髄腔内の黄色骨髄に血液を供給します。
その後、皮質骨内に戻りフォルクマン管やハバース管を通って骨外へと静脈によって運び出されます。
骨膜動脈
骨膜動脈は、骨膜に集中的に血液を供給する動脈です。
写真にはありませんが、骨膜と皮質骨の間に網目状に存在します。
骨膜動脈は、骨折した際の主な血液の供給源となり、骨膜の深層に存在する骨芽細胞や浅層に存在する前骨芽細胞が働くための栄養を供給します。
骨膜に血液を供給後は、皮質に入り栄養動脈と交わり骨全体に血液を供給します。
骨端・骨幹端動脈
骨端動脈および骨幹端動脈は、骨端と骨幹端にのみ独占的に血液を供給します。
皮質骨に入り、ハバース管・フォルクマン管を通ったのち、海綿骨内の赤色脊髄に血液を供給します。
成長期では、骨端動脈と骨幹端動脈が骨端線に栄養を供給しています。
まとめ
以上が、骨組織における血液供給でした。
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栄養動脈は骨全体に血液を供給している。
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骨膜動脈が骨折時には主な血液供給源となる
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骨端動脈・骨幹端動脈は骨端線に血液を供給している。
以上です!