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2014年Doha agreementで定義されたグロインペイン症候群の分類

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スポーツで起こる怪我の中でトップクラスに厄介な怪我にグロインペイン症候群があると思います。
 
グロインペイン症候群とは一言に言っても、
原因はあまり分かっておらず、その定義すらも曖昧です。
 
医療従事者でも、グロインペイン症候群はどういった風に原因と症状を分類するのかと言うのが非常に厄介な怪我と言えます。
 
そんな背景から、2014年にThe First World Conference on Groin Pain in Athletesがドーハで開かれ、グロインペインの分類を定義するDoha agreement(ドーハ協定)が定められました。
 
と言うわけで今回は、
Doha Agreementの内容について解説していきます。
 
 
 
 

グロインペインの分類 

 Doha agreementの最も重要な内容は、グロインペインの知見を広めていくために、まずグロインペインの原因を分類しようというものです。
 
その結果、まず以下の3パターンに分類するという風になりました。
  • 臨床事象によって定義されるグロインペイン(内転筋群、腸腰筋、鼠径靭帯、恥骨結合に関連するグロインペイン)
  • 股関節に関連するグロインペイン
  • その他の原因によるグロインペイン
 
Classification system
1. Defined clinical entities for groin pain: Adductor-related, iliopsoas-related, inguinal-related and pubic-related groin pain
2. Hip–related groin pain
3. Other causes of groin pain in athletes
Doha agreement (2014) より
 
 

臨床事象によって定義されるグロインペイン

 
Defined clinical entities for groin pain;臨床事象によって定義されるグロインペインとは、
臨床の中で症状を見ることができるグロインペインです。
 
これは、以下の4つの原因が含まれます。
  • 内転筋群に関連するグロインペインの定義
  • 腸腰筋に関連するグロインペインの定義
  • 鼠径に関連するグロインペインの定義
  • 恥骨に関連するグロインペインの定義
 
 
内転筋群に関連するグロインペインの定義
内転筋に関連するグロインペインは以下のような症例が分類されます。
 
  • 内転筋の圧痛
  • 内転筋収縮ステストでの疼痛
両方が見られる場合。
 
 
腸腰筋に関連するグロインペインの定義
腸腰筋に関連するグロインペインは以下のような症例が分類されます。
 
  • 腸腰筋の圧痛
  • 腸腰筋収縮テストでの疼痛 or 腸腰筋ストレッチでの疼痛
両方が見られる場合。
 
 
鼠径に関連するグロインペインの定義
鼠蹊部に関連するグロインペインは以下のような症例が分類されます。
 
  • 鼠径管あたりの疼痛
  • 鼠径管あたりの圧痛
  • 触診できる鼠径ヘルニアが見られないこと。
全て満たす場合。
 
鼠径管に関連するグロインペインは、加えて、腹筋群収縮時またはヴァルサルバ法、咳、くしゃみによる痛みがあることが多いとされています。
 
 
恥骨に関連するグロインペインの定義
内転筋に関連するグロインペインは以下のような症例が分類されます。
 
  • 恥骨結合と隣接する骨の圧痛がある場合。
 
恥骨に関連するグロインペインを鑑別できるレジスタンステストはないとされています。
 
 

股関節に関連するグロインペイン

股関節に関連するグロインペインは以下のテストによって鑑別することが推奨されています。

  • 股関節スペシャルテスト(股関節屈曲 - 外転 - 外旋;FABER)
  • 股関節屈曲 - 内転 - 内旋 テスト(FADIR)
 
股関節に関連するグロインペインの識別は非常に難しく、グロインペインでは常に股関節に起因する痛みも併発していることを考慮する必要があります。
 
ここでは、痛みの発症、性質、部位が重要な手がかりであり、キャッチング、ロッキング、クリッキング、膝くずれのような症状が特徴的です。
 
 

その他の原因によるグロインペイン

 
グロインペインの原因となる例は、これ以外にも数多く確認されています。
その例が上の表にある通りです。
 
  • 神経絞扼
  • 関連痛
  • 剥離骨折
  • 疲労骨折
  • 鼠蹊部リンパ節腫脹
  • 腹部内異常
  • 婦人科的状態
  • 脊椎関節障害
  • その他腫脹
 
これら以外にもグロインペインの原因となり得る要因はあるので注意が必要です。
 
 

まとめ

以上が、Doha agreementでまとめられたグロインペインの分類の定義です。
 
グロインペインはまだまだ分かっていることは少ないですが、
  • キック動作の多いスポーツでリスク高いことや、
  • 全体の2/3の症例で内転筋関連の原因を含むことなど
徐々に明らかにされています。
 
今後は当分、グロインペインのことについてまとめていきます。
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