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骨組織の微小構造|ハバース管・フォルクマン管・介在層板

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骨、つまり骨組織は、損傷時に組織と異なる骨癒合という独自の治癒過程によって組織再生します。
 
そのシステムを確実に理解するためには、まず骨組織の組織構造について理解する必要があります。
 
以下の記事で、骨組織のより大まかな基本構造について解説しました。
 
というわけで今回は、
骨組織の微小構造について解説していきます。
 
 
 
 

皮質骨を構成する層板

 
骨組織は、皮質骨海綿骨によって大部分を占められています。
また、それ以外には関節軟骨骨膜などがあります。
 
海綿骨は、皮質骨の内側に存在し、骨小柱によって構成されており、
骨小柱の間隙に不規則に空洞があるような構造になっています。
 
一方皮質骨は、骨単位が規則的並んだ構造をしており、以下のような層板によって緻密な構造をしています。
  • ハバース層板
  • 介在層板
  • 内環状層板(内基礎層板)
  • 外環状層板(外基礎層板)
 
 

ハバース層板

ハバース層板は、薄い円筒状の層板です。
ハバース層板が何枚も重なることで一つの分厚い円筒を構成し、何枚かのハバース層板によってできる木の年輪のような構造を同心円状と言います。
また、この同心円状の円筒の内側にできる空洞をハバース管と言います。
 
同心円状のハバース層板ハバース管とその中を通る血管・神経をセットで骨単位(オステオン)と言います。
 
 

介在層板

介在層板は、骨単位と骨単位の間のスペースを埋める層板です。
何枚かの介在層板が重なってはいるものの、ハバース管と異なり円筒を構成しないため、同心円状を取りません。
 
 

内環状層板(内基礎層板)

内環状層板は、皮質骨の内側を覆うように存在する層板で、海綿骨骨内膜と接する部分です。
内基礎層板とも呼ばれることもあります。
 
内環状層板は、骨の輪郭と並行してややカーブを描くような形状をしています。
 
 

外環状層板(外基礎層板)

外環状層板は、内環状層板と反対に皮質骨の外側を覆うように存在する層板で、骨膜と接する部分です。
外基礎層板とも呼ばれることがあります。
 
外環状層板も内環状層板と同じく、骨の輪郭と並行するような形状をしています。
 
 

ハバース管とフォルクマン管

 
皮質骨には、その緻密な構造から血管が自由に通ることができるスペースがありません。
 
そのため、ハーバス管・フォルクマン管という通路のような空洞が構成されており、その中を血管神経が通っています。
 
 

ハーバス管

ハーバス管は、ハーバス層板の内側にできる縦向きの空洞です。
ハーバス管を通じて、骨組織を縦方向に血液を移動させることができます。
 
 

フォルクマン管

フォルクマン管は、ハバース層板を垂直に貫通する空洞です。
フォルクマン管を通じて、骨膜側から皮質内へと血液を取り込み
骨単位から隣の骨単位へと血液を移動させ、
最終的には、皮質骨のさらに内側の海綿骨や骨髄に血液を移動させることができます。
 
血液供給についての詳しい解説は以下の記事で。
→骨組織の血液供給
 
 

骨単位の微小構造

 
骨単位をさらに細かく見ていくと、以下の構造に構成されています。
  • 骨小腔
  • 骨細胞
  • 骨細管
 
 

骨小腔

骨小腔は、ハバース層板とハバース層板の間にできる間隙です。
このスペースに骨細胞が存在します。
 
 

骨細胞

骨細胞は、骨のリモデリングなど、骨の構造を管理している細胞です。
前述の通り、骨小腔に存在します。
 
骨細胞は、骨の合成を行う骨芽細胞から分化した細胞です。
骨組織に関係する細胞に関しては以下の記事で。
 
 

骨細管

骨細管は、ハバース層板を貫通する微小な空洞です。
この空間を通して、骨細胞の細胞質突起を伸ばして他の骨細胞と連結しています。
 
これによって、骨細胞同士は栄養分や互いの情報を交換していると考えられています。
 
 

まとめ

以上が、骨細胞の微小構造でした。
 
ここを押さえておくことは、骨癒合骨細胞の分化を学ぶ当たってかなり重要な基礎知識となります。
 
次回からは、骨組織の血液供給について解説していきます!
 
 
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