トレーニング後のケア、結局何がベストなの?【エビデンス】
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皆さんこんにちは。
トレーニング後のケアが重要なことは百も承知だと思うんですが、
実際に何が効果的なのかというのはわかってるようでわかってないところではないでしょうか。
2018年も少し前ですが、そんな疑問を解決しようと
トレーニング後のケアで最も効果的な方法は何なのかというシステムテックレビューが出ました。
というわけで今回は、
トレーニング後で最も疲労回復効果の高いケアについての論文レビューをしていきます。
研究概要
今回は、2018年にFrontiers in Physiologyに投稿された、
「An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis.」
と言う論文をレビューしていきます。
研究デザイン
この研究では、ランダム化比較試験、クロスオーバーデザイン、反復測定デザインで、治療的介入による疲労指標への影響を調べた論文を対象に、
システマティックレビューしています。
データベースや参考文献からの検索し、PRISMAによって論文の質を評価し、選別された99件の研究を対象にメタ解析を行っています。
システマティックレビューとは、これまで出ている研究を総括し現状のエビデンスを総括する最もエビデンスレベルの高い研究デザインです。
研究結果
まず結果から先に言うと、
この研究では以下の項目で疲労指標に対する有意な影響が報告されました
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アクティブリカバリー
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コンプレッションウェア
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マッサージ
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水浴
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交代浴
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クライオセラピー
また、この中でも炎症マーカーについてはマッサージと水浴が最も効果的と報告され、
加えてマッサージでは、遅発性筋痛(DOMS) と主観的疲労度でも最も高い効果が報告されました。
これまでなかなか効果が実証されなかったマッサージについて、ついに科学的な効果を認めるエビデンスとなりました。
DOMS・主観的疲労感
まず、遅発性筋痛(DOMS)と主観的疲労感に対する介入的治療から参ります。
上の表は、遅発性筋痛(DOMS)への効果を、トレーニング後から6時間以内、24時間、48時間、72時間、96時間以上で比較しています。
下の表は、主観的疲労感への効果を、トレーニング後から6時間以内、24時間、48時間で比較しています。
また、表のバーはそれぞれ以下を示しています。
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青:アクティブリカバリー
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赤:マッサージ
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緑:コンプレッション
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紫:水浴
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黄:クライオセラピー
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水:電気的治療
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橙:ストレッチ
遅発的筋痛(DOMS)への効果
まず、遅発性筋痛への効果に関して。
トレーニングのあと6時間以内では、 アクティブリカバリーが最も効果が高いという風にされています。
しかし、アクティブリカバリーの効果は24時間後ではほとんど見られず、それ以降はマッサージが最も効果高いということがわかります。
一方で、コンプレッションウェアや水浴は四8時間後以内ではあまり効果が見られませんが7時間後以降では徐々に効果を表すことがわかります。
主観的疲労度
続いて、主観的疲労感への効果に関して。
遅発的筋痛に対して6時間以内では効果的であったアクティブリカバリーですが、
主観的疲労感では6時間以内では効果が見られず、
加えて24時間後には、有意な影響ではありませんが、主観的疲労度を悪化させる影響が見られます。
一方でマッサージは、主観的疲労度に関しても6時間後から24時間後にかけて十分な効果が見られます。
また、水浴も24時間後で効果が現れています。
マッサージに関しては、マッサージを受けたというバイアスが幾分かかっていることは考えられますがそれにしても十分な効果が見られていると言えるでしょう。
炎症マーカー
炎症マーカーとしてはクレアチンキナーゼ、IL-6、CRPが検討されています。
これらはともに、筋損傷の指標として用いられるものです。
バーの色、縦軸、横軸は先ほどのものと同じです。
炎症マーカーに関しても、IL-6、クレアチンキナーゼともにマッサージによる大きな効果が見られます。
また、水浴も炎症マーカーへの有意な効果が48時間後で見られています。
マッサージの炎症マーカーへの効果は3日後から頭角を現していますが、炎症マーカーは1日程度遅れて結果に表れてくるので実質は2日以内で効果が表れてると考えられます。
アクティブリカバリーの効果
今回の結果で得られたアクティブリカバリーの効果は6時間後以内であれば遅発性筋痛に効果があるという結果でした。
一方で、 主観的疲労度に関しては逆効果を招く可能性が示唆されました。
アクティブリカバリーに関しては個別のシステマティックレビュー(Van Hooren, et al. 2018)が発表されており、
その結果、運動後10分から20分の間に、体温と血流の急激な下降を防ぐ効果があるとされましたがそれ以上の効果はないという風に報告されています。
本来アクティブリカバリーの疲労回復効果は、血流を促進することで乳酸を除去し、血液の酸性度を下げるということでした。
しかし、乳酸によるアシドーシスの疲労への影響があまりない。ということが明らかにされた現代で、アクティブリカバリーのメリットは考えにくい風に結論付けられています。
マッサージの効果
マッサージは、長年その効果が研究結果に出なかったなんとも歯がゆいところでした。
しかしついに、マッサージの効果がエビデンス的に認められる研究結果が出ました。
今回得られた統計値では、 SMD値が-2.26から-2.55と十分に効果の大きさを認める数値となっています。
また違う研究では、マッサージによって血中のコルチゾール量が減少することや、 血中のβエンドルフィン量が増加することが報告されています。
こういったことから主観的指標である違っていきんつうや主観的疲労感に関する影響はあるということは考えられます。
SMD値は0.8以上から、大きな影響があると判断できる統計値です。
マッサージ×ストレッチの相乗効果
加えて今回の研究から得られた注目すべき点として、
マッサージとストレッチの相乗効果が挙げられます。
マッサージとストレッチを同時に行うことによって、主観的疲労度への影響のSMD値が-4.34とマッサージのみに比べてさらに高い値となっています。
ストレッチ単体では、疲労回復への効果は今回の研究て見られていませんが、
マッサージと並行して行うことによってストレッチも有効な効果があるという風に報告されました。
また別に、こういった治療手の疲労回復を彼は男性より女性の方が小さいということも報告されました。
まとめ
以上が治療的介入による疲労指標への効果に関するエビデンスでした。
この研究では、これまで意見が分かれていたマッサージの効果が証明されたという点について新規性の高い結果が出ました。
また加えて、マッサージとストレッチを同時に行うことによって、
マッサージ×ストレッチの相乗効果が生まれるということも新たな発見として報告されました。
以上です。
参考文献
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Dupuy, O., Douzi, W., Theurot, D., Bosquet, L., & Dugué, B. (2018). An Evidence-Based Approach for Choosing Post-exercise Recovery Techniques to Reduce Markers of Muscle Damage, Soreness, Fatigue, and Inflammation: A Systematic Review With Meta-Analysis. Frontiers in Physiology, 9, 403. https://doi.org/10.3389/fphys.2018.00403
- Van Hooren, B., & Peake, J. M. (2018). Do We Need a Cool-Down After Exercise? A Narrative Review of the Psychophysiological Effects and the Effects on Performance, Injuries and the Long-Term Adaptive Response. Sports Medicine, 48(7), 1575–1595. https://doi.org/10.1007/s40279-018-0916-2