アクティブリカバリーは翌日の疲労感に悪影響を及ぼす
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トレーニング後のケアとしてアクティブリカバリーは非常によく使われる方法だと思います
試合の翌日などは軽いジョギングを行って、コンディショニングするというのもよく見られる光景だと思います。
ですがアクティブリカバリーの効果に関してはこれまで長いで意見が分かれていました。
様々な治療的介入を比較した2018年に出たばかりのシステマティックレビューでは、
アクティブリカバリーはトレーニングの24時間後以降は有意な効果見られませんでした。
その記事のレビューはこちらから。
これに続いて、アクティブリカバリーだけに絞ったまとめ論文も報告されました。
というわけで今回は、
アクティブリカバリーの効果についての論文をレビューして行きます!
- 論文概要
- そもそもアクティブリカバリーのメカニズムって?
- 筋グリコーゲンの合成への効果
- 遅発的筋痛への効果
- パフォーマンスへの効果
- ストレッチ・フォームローラーによる効果
- トレーニング後のケアのシステマティックレビュー
- まとめ
- 参考文献
論文概要
今回は、2018年にSports Medicineに投稿された、
「Do We Need a Cool-Down After Exercise? A Narrative Review of the Psychophysiological Effects and the Effects on Performance, Injuries and the Long-Term Adaptive Response.」
という論文をレビューしていきます。
研究デザイン
この論文は、アクティブリカバリーとパッシブリカバリーの効果比較した研究をまとめ論文です。
システマティックレビューと主な方法は同じですが、エビデンスの量が少ないため論文の質を評価するなどの方法は行われていません。
そのため、システマティックレビューと比べるとエビデンスレベルは下がります。
そもそもアクティブリカバリーのメカニズムって?
そもそもアクティブリカバリーのメカニズムはなんなのか。
本来、アクティブリカバリーが効果的と考えられた理由としては、
軽い運動を行うことによって血流を促進させ血中乳酸を除去しアシドーシスを軽減するというものでした。
しかし、エビデンスが整うに連れて、乳酸はコリ回路や遅筋線維などで早い段階で再利用されることがわかり、
血中乳酸は運動後約2時間以内でアシドーシスは約16分から80分以内で元の状態に戻るとことが明らかにされています。
それでは一般的に言われていたメカニズムは起こらないのでは?と考えられるようになりました。
こういった背景からこの研究では、疲労に関係する以下の3つの観点からアクティブリカバリーの効果を再評価しています。
-
筋グリコーゲンの合成
-
遅発的筋痛(DOMS)
-
運動パフォーマンス
筋グリコーゲンの合成への効果
アクティブリカバリーによって体温が上昇し血流が増加することで筋肉はタンパクの取り込みを促進することができるという風に予想されていました。
しかしこの研究の結果としてはきんグリコーゲンの合成を促進する効果がないばかりか、
むしろ軽い運動を行うことによって遅筋繊維がグリコーゲンを利用してしまう。
つまり、アクティブリカバリーはグリコーゲンの合成を阻害することが明らかになりました。
つまり、筋グリコーゲンを合成する目的でアクティブリカバリーを行うことは効果的でないということが結論づけられました。
遅発的筋痛への効果
遅発的筋痛に関しても、アクティブリカバリーによる体温の上昇と血流の増加によって、損傷部位の回復を早めるということは考えられていました。
しかし、これに関してもアクティブリカバリーによる効果は報告されず、
むしろ、ランニングなどの体重がかかるような方法でのアクティブリカバリーは遅発的筋痛を増加させることが示唆されました。
これは着地の際の衝撃によって、筋肉が揺れることが疲労の原因となることが最近示唆されており、こういった影響が関係しているのではないかと考えられています。
逆に言えば、一般人と比較して疲労耐性の高いアスリートに対してはこういった小さい疲労の影響は少ないのではないかとも考えられています。
パフォーマンスへの効果
続いて、アクティブリカバリーによってパフォーマンスがどれほど維持できるのかってことも研究されました。
その結果運動後10分から20分の間にアクティブリカバリーを行うことは効果的であるとされました。
これはアクティブリカバリーを行うことによって、体温と血流の急激な下降を抑えパフォーマンスが維持されるということが考えられています。
つまり、一般的に用いられている翌日以降の疲労の回復には否定的な結果となっています。
ストレッチ・フォームローラーによる効果
それでは軽い運動によるアクティブリカバリー以外の広報での疲労回復効果どうなのでしょう。
ここではストレッチとフォームローラーの効果が検討されています。
まず、ストレッチに関しては疲労回復効果はないというふうに考えられています 。
一方で、フォームローラーに関しては 筋痛や柔軟性またパフォーマンスなどに効果的ではないかとポジティブな影響が示唆されています。
トレーニング後のケアのシステマティックレビュー
これとは別に、トレーニング後のケアについてまとめたシステマティックレビューも発表されています。
この研究では、トレーニング後のマッサージが、筋損傷、筋痛、主観的疲労度に最も効果的であったということが報告されています。
加えてこの研究では、マッサージとストレッチを同時に行うことがで相乗効果が得られるということも報告されており、
アクティブリカバリーと比較しても圧倒的に高い効果があると結論づけられています。
この論文のレビューは以下の記事をご覧ください。
まとめ
アクティブリカバリーは翌日以降の疲労に効果がないというお話でした。
むしろ、ジョギングなどでは、グリコーゲンが利用されたり疲労が増大するということは考えられており、
この結果から>アクティブリカバリーは効果的なトレーニング後のケアとは言えないでしょう。
一方で、フォームローラーやマッサージなどの方法は効果的であることはエビデンスとして報告されています。
あまりにも、一般的に広まるとアクティブリカバリーですが、アップデートしていかなくてはいかないでしょう。
以上です!
参考文献
-
Van Hooren, B., & Peake, J. M. (2018). Do We Need a Cool-Down After Exercise? A Narrative Review of the Psychophysiological Effects and the Effects on Performance, Injuries and the Long-Term Adaptive Response. Sports Medicine, 48(7), 1575–1595. https://doi.org/10.1007/s40279-018-0916-2