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サッカートップチームでのトレーニング負荷の管理についての調査

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近年は、トレーニング科学GPS などのテクノロジーの発展によってトレーニング負荷の管理がかなり正確にできるようになってきました。
 
とは言ったものの、 GPSなどの機械が多くのチームであるわけではないというのは、依然変わっていない部分だと思います。
 
では、現状ではどれぐらいのレベルのチームがトレーニング管理として GPS などといった新しいテクノロジーを利用しているのでしょうか。
 
というわけで今回は、
トレーニング負荷の管理の現状についての論文をレビューしていきます。
 
 
 

研究概要

 
今回の研究では、イングランドのトップサッカーチームを対象にアンケートを行いトレーニング負荷をどのように管理してるかについてアンケートを用いて調査しています。
ここで言うトップサッカーチームとは、プロクラブやその下部組織などのエリートサッカー選手が所属するようなチームを意味します。
これによって、現場のトレーニング負荷の管理方法が現状どのようになってるのかを調査しようという論文でございます。
 
 

トレーニング負荷の管理方法

 
それでは早速早速見ていきましょう。
 
このグラフは、トレーニング負荷の管理方法がどういった方法で用いられているのかってことを表したグラフです。
 
項目は左から、 GPS、心拍数、血液指標、選手の主観的強度(RPE)、マネージャーの主観、コーチの主観、医療従事者の主観、フィットネスコーチの主観、その他です。
縦軸は、その方法を使っていたチームの割合を示しています。
また黒いバーはコーチ又は監督が管理しているチームの結果、 白いバーはトレーナー管理してるチームの結果を表しています。
 
結果としては、
コーチの主観によって管理しているチームが最も多く、続いてGPSやRPEによって管理しているチームが多いという結果でした。
 
コーチや監督がトレーニング負荷を管理しているチームでは、トップレベルのチームがあっても、多くのチームでコーチの主観によって評価されているようです。
 
一方で、トレーナーがいるようなチームでは GPS や心拍数のなどといった客観的指標を用いてトレーニング強度を管理しているということがわかります。
 
つまりは、トップレベルのチームであっても専属トレーナーがつけられないチームでは、客観的な装置を用いたトレーニング負荷の管理ってことは現状として行われていないということがわかります。
 
 

トレーニング負荷管理の目的

 
続いてトレーニング負荷の管理はどういった目的で行われてるのかという調査も行われました。
 
その結果、多くのチームで怪我の抑制パフォーマンスやフィットネスの強化ということを目的に行われていました。
 
ここで興味深い点としては、
コーチや監督トレーニング負荷の管理をが行っている場合は怪我の抑制を目的にしている割合が若干高く、
トレーナーが管理してる場合はフィットネスな強化を目的に行っている場合が多いという点です。
 
実際にトレーニング負荷を管理することによって怪我の発生を防ぐ可能性を示唆している論文はいくつか出ていますが、
トレーニング負荷のコントロールによって怪我の発生を防ぐことができるかは、研究者でも意見が分かれています。
 
トレーナーとしては フィットネスの強化を目的としている方が考えやすいてことは考えられます。
 
 

現場が感じる重要性は?

 
最後に、トレーニング負荷の完了となってるチームのスタッフがどれほどトレーニング負荷の管理の有用性を感じているか。という調査のされています。
 
その結果では、スタッフの89.1%が有用性を感じていると報告がされています。
 
これが多いのか少ないのかってことは何とも言えないところですが、監督やコーチよりトレーナーの方が有用性を感じているということは、
出てきたデータをどう使うのかが現状としてまだまだはっきりされない。
というところからのじゃないかなと個人的に思います。
 
実際問題、 GPS の精度は近年やっと数メートル単位での測定ができるようになったばかりで、現場で使われてるような GPS では、そのレベルでの正確な測定ができないことは現状の問題として挙げられると思います。
 
これに関してはこれからのテクノロジーの進歩に期待して行くしかないというところだと思います。
 
 

まとめ

 
以上がトレーニング負荷の管理についての現状をまとめた論文レビューでした。
 
主な目的としては、怪我の予防パフォーマンスアップを目的にトレーニング負荷の管理が行われており、
トップレベルのチームの約22%程度では GPS などでの主観的な測定が導入されているようです。
また、スタッフの約89%がトレーニング負荷の管理が有用であるという風に感じているという結果も出ていました。
 
トレーニング負荷を測定して出てきたデータをどう扱うのかっていうのは、エビデンスとして固まっている部分ではないので、各トレーナーの経験や主観などによって判断していくしかないのが現状だと思います。
 
しかし、こういったテクノロジーは今後どんどん進化していくと予想されるので、今後のエビデンスの発展にも注目していきたいところです。
 
以上です!
 
 
 

参考文献

  • Weston, M. (2018). Training load monitoring in elite English soccer: a comparison of practices and perceptions between coaches and practitioners. Science and Medicine in Football, 2(3), 1–9. https://doi.org/10.1080/24733938.2018.1427883
 
 
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