アミノ基転移反応|アラニン・アスパラギン・グルタミン酸
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みなさんこんちは。
アミノ酸は、糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸に別れて、それぞれエネルギー利用されたり、タンパク質として体内の様々な組織・ホルモンなどを構成しています。
このように、必要なタンパク質を必要な分作るために、私たちはアミノ酸を作り変えることができます。
その反応を「アミノ基転移反応」と言います。
今回は、「アミノ基転移反応」について解説していきます!
アミノ基転移反応
アミノ酸は「アミノ基(-NH2)」と「2-オキソ酸(別名:α-ケト酸)」によって構成されています。
例えば、グルタミン酸の場合は「アミノ基+2-オキソグルタル酸」で構成されている。
このように、どの種類の2-オキソ酸かによって、アミノ酸の種類が決まります。
そんなアミノ酸のアミノ基転移反応とは、
あるアミノ酸の「アミノ基」を別の「2-オキソ酸」に転移する反応です。
この反応によって、11種類の非必須アミノ酸を体内で作り出すことができます。
ちなみに。
非必須アミノ酸は、アスパラギン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニン、グリシン、グルタミン、グルタミン酸、システイン、チミン、チロシン、プロリンです。
必須アミノ酸は、ヒスチジン、トリプトファン、リジン、スレオニン、メチオニン、バリン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシンです。
アミノ基は基本的にグルタミン酸、アスパラギン酸、アラニンに集約される
アミノ基転移を通じて転移されるアミノ基は基本的には以下の3つに集約されます。
- 2-オキソグルタル酸と結合し、グルタミン酸
- オキサロ酢酸と結合し、アスパラギン酸
- ピルビン酸と結合し、アラニン
グルタミン酸とアスパラギン酸はアミノ基を取られアンモニアを生成
グルタミン酸とアスパラギン酸に集約されたアミノ基は、ミトコンドリア内に取り込まれ、酸化的脱アミノ化反応という反応によって、アミノ基が取り除かれる。
取り除かれたアミノ基はH+を加えて酸化され、アンモニアとなる。
一方で、グルタミン酸とアスパラギン酸からアミノ基を取り除いたことで生成される2-オキソ酸は、それぞれ「2-オキソグルタル酸」と「オキサロ酢酸」なので、
どちらも、クエン酸回路の一員としてエネルギー利用されたり、再びアミノ基を得てアミノ酸となります。
この反応で使われるのが、グルタミン酸とアスパラギン酸である理由は、ミトコンドリア膜を通り抜けられるからです。
アラニンはグルコース-アラニン回路として血中へ。
アラニンは「ピルビン酸+アミノ基」であることから、ピルビン酸の運搬要員として利用されます。
これは、糖新生に関係する「グルコース-アラニン回路」で主に役割を果たします。
グルコースアラニン回路の詳しい話は別の記事で解説します。
主要なアミノトランスフェラーゼ
アミノ基転移反応を触媒する酵素をまとめて「アミノトランスフェラーゼ」と言います。
身体の反応で特に主要なアミノトランスフェラーゼに以下の2つがあります。
- アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)
- アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)の働き・特徴
アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)は、以下のアミノ基の転移を触媒しています。
- 「アラニン」(ピルビン酸 + アミノ基)
- 「グルタミン酸」(2-オキソグルタル酸 + アミノ基)
アラニンアミノトランスフェラーゼは、身体のほとんどの組織に存在しますが、その中でも特に肝臓に多く存在します。
その肝臓では、血液中から取り込んだアラニンを以下の反応でピルビン酸に分解し糖新生に進める反応を助けています。
「アラニン + 2-オキソグルタル酸 → ピルビン酸 + グルタミン酸」
ちなみに。
アラニントランスフェラーゼは、幹細胞が損傷すると血液中に流れ出て血中濃度が上昇することから、肝臓障害の指標として健康診断などで用いられる。
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)の働き・特徴
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は、以下のアミノ酸の間でのアミノ基転移を触媒しています。
- 「アスパラギン酸」(オキサロ酢酸 + アミノ基)
- 「グルタミン酸」(2-オキソグルタル酸 + アミノ基)
アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは、
ミトコンドリア膜を通過できないオキサロ酢酸を、アスパラギン酸に一度変えることで、ミトコンドリアから細胞質へ通過させるときに主に働きます。
細胞質に戻ったら、逆向きの反応でアスパラギン酸からオキサロ酢酸に戻して、オキサロ酢酸はその後は主に糖新生に利用されます。
このように、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼは、ミトコンドリア内でも細胞質内でも働き、
- ミトコンドリア内で働くものを主に「m-AST」
- 細胞質で働くものを「s-AST」
とそれぞれ区別されることもあります。