空腹時の糖新生・グルコース-アラニン回路とは
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みなさんこんちには。
糖新生について学ぶ上で「グルコース-アラニン回路」を忘れるわけにはいきません。
コリ回路ともよく比較されるグルコース-アラニン回路ですが、
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「なぜアラニンなの?」
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「コリ回路ではダメなの?」
と言う風に思わないでしょうか?
と言うことで今回は、
グルコース-アラニン回路について詳しく解説していきます!
グルコース-アラニン回路の概要
グルコース-アラニン回路は主に、飢餓時に働いて血糖値を正常に保つ役割があります。
飢餓時にはグルコースで血糖値が低下し、脳や赤血球など糖をエネルギーとする器官がうまく働けなくなります。
身体はそれを防ぐために、アミノ酸やグリセロールなどから糖を作って血糖値を保つ「糖新生」を行います。
グルコース・アラニン回路は、糖新生を利用するための筋肉から肝臓への循環経路です。
グルコース-アラニン回路は、糖新生によるグルコースを作る働きを促進するために糖新生の材料の運搬している回路と考えるとわかりやすいと思います。
アミノ酸からアラニン、アラニンから糖
飢餓時にグルコース不足になると、筋肉などの分解が促進されアミノ酸が増加します。一方で、クエン酸回路もうまく働かなくなることから、ピルビン酸も増加します。
このアミノ酸とピルビン酸を利用してアラニンを作ります。
筋肉、赤血球など様々な器官で作られたアラニンに変換し、血液に入ることで肝臓に運ばれて糖新生に利用されます。
糖新生によって生まれたグルコースは血液中に戻されて血糖値を維持します。
これによって、グルコースなどが不足しても脳や赤血球など、グルコースを主に利用する器官の機能を正常に保つことができます。
グルコース-アラニン回路は糖新生そのものではない。
グルコース-アラニン回路は糖新生の内容で一緒に学ぶため、糖新生の中の一つの方法と勘違いされがちですが、
グルコース-アラニン回路は糖新生そのものではありません。
糖新生とは、「糖以外の物質から糖(グルコース)を生成する代謝」です。
これは肝臓で行われ、肝臓に糖新生に利用できる材料が入ってきて、初めてスタートします。
グルコース-アラニン回路では、アラニンが肝臓に取り込まれてから、
「アラニン → グルコース」と変換されていく過程は糖新生で、それ以外の部分は糖新生ではありません。
つまり、グルコース-アラニン回路は、糖新生を利用する代謝経路ということです。
グルコース-アラニン回路の詳しい反応経路
グルコース-アラニン回路の反応経路は以下の2つのステップに分けられます。
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ピルビン酸からアラニンの合成
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アラニンからグルコースの合成
ピルビン酸からアラニンの合成
まず最初に、筋肉などでピルビン酸からアラニンを合成します。
アラニンは「ピルビン酸 + アミノ基」で合成でき、そのアミノ基を主にグルタミン酸からもらいます。
つまり、
「ピルビン酸 + グルタミン酸 → アラニン + 2-オキソグルタミン酸」
というような反応で合成されます。
これでできたアラニンは、血中に流れて肝臓で取り込まれて次の糖新生のステップに進みます。
アラニンの合成反応は「アラニントランスアミーゼ(ALT)」という酵素によって調整されます。
この酵素は、肝臓障害の指標として臨床的に用いられれます。
アラニンからグルコースの合成
肝臓で取り込まれたアラニンは、糖新生によってグルコースに変えられます。
肝臓に取り込まれたアラニンは、まず、ピルビン酸に戻されます。これは、アラニンが合成された時の反対の反応で分解されます。
「アラニン + 2-オキソグルタミン酸 →ピルビン酸 + グルタミン酸」
ピルビン酸はミトコンドリアの中に入り、糖新生によってグルコースに変換されます。
合成されたグルコースは血液中に流され、これによって血糖値が上昇します。
合成されたグルコースは血液中に流され、これによって血糖値が上昇します。
糖新生の詳しい説明は長くなるので、以下の記事にて解説します。
アラニンである理由
グルコース-アラニン回路は、アミノ酸という形を使うことによって血液中に流して、
その器官から肝臓へと運搬することを実現しています。
ですが、なぜ、他のアミノ酸ではなく「アラニン」である必要があるのか。
ということが疑問にはならなかったでしょうか。
実際に、ほとんどのアミノ酸(糖原性アミノ酸)は、血液中から肝臓に取り込まれて糖新生でグルコースに変換することができます。
しかし、その中でもアラニンでないといけない理由は、
「ピルビン酸 + アミノ基」でアラニンが作られるからです。
ピルビン酸は血液中に流せない
アラニンは、筋肉などの組織でピルビン酸から合成されます。
そして、肝臓で取り込まれたアラニンは、「ピルビン酸」に分解されて、糖新生されます。
つまりは、糖新生に必要なのはアラニンではなく、ピルビン酸なのです。
しかし、ピルビン酸のままでは血液中にほとんど流れず、これでは肝臓に行き着く前に血糖値が下がり切ってしまう。
そこで、ピルビン酸にアミノ基をくっつけてアラニンにすることで、肝臓にピルビン酸を届けているわけです。
つまり、アラニンはピルビン酸を肝臓に運搬する用の形というわけです。
筋肉から血液中に放出されるアミノ酸の30%はアラニンです。
まとめ
今回は、グルコース-アラニン回路の概要について解説していきました。
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グルコースアラニン回路は、糖新生を利用する一つの代謝経路
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アラニンはピルビン酸+アミノ基で合成される
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肝臓では、まずアラニン→ピルビン酸+アミノ基に分解される
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ピルビン酸を肝臓に運搬するためにアラニンを利用している
栄養がなくなってくると、血糖値が下がり、血糖値を補うためにタンパク質が分解されてアミノ酸が増えます。
そうなると、ピルビン酸とアミノ酸が結合しやすくなってアラニンが増えるので、グルコース-アラニン回路が活性化します。
つまり、栄養不足で筋肉がどんどん分解されると活発になる回路です。
なので、あまり使わない方がいい回路ですね。