肝臓・筋肉でのグルコーゲンの分解【経路・酵素】
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みなさん、こんにちは。
多くのスポーツ選手が最も重宝しているエネルギー源こそ「グリコーゲン」です。
高強度の運動を頻繁に繰り返すアスリートにとって、グルコースをいかに利用できるかは非常に重要であり、
そのグルコースの塊であるグリコーゲンは非常に重要です。
グリコーゲンといえば、いかにグリコーゲン量を増やすかに刮目しがちですが、
いかにグリコーゲンを分解するか。
というのも同時に重要です。
ということで今回は、
グリコーゲンの分解について詳しく解説していきます!
グリコーゲンの分解
グリコーゲンを分解して、グルコースを取り出す時は、
グリコーゲン鎖の末端から一個づつ、グルコース分子を取り出します。
グリコーゲンの分解は、肝臓と筋肉では異なった目的で行われ、
肝臓では、血糖値が下がった時に、グルコースを血液中に流して血糖値を上げるために行われ、
筋肉では、エネルギーが必要な時に、グルコースを分解してエネルギーを得るために行われます。
グリコーゲンの分解は以下のステップによって行われます。
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グリコーゲンからグルコース1-リン酸を取り出す
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グルコース1-リン酸をグルコース6-リン酸に変換する
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グルコース6-リン酸をグルコースに変換する【肝臓のみ】
グリコーゲンの分解には、肝臓でも筋肉でも基本的に同じ酵素が働きますが、ホルモンによる活性は異なるので、同じ酵素でも違うタイミングで活性化します。
グリコーゲンからグルコース1-リン酸を取り出す
まず最初に、グリコーゲンの鎖の末端を切り取って、グルコース1-リン酸を取り出します。
取り外されたグルコースは、さっきまでグリコーゲン鎖とくっ付いていた部分に無機リン酸をくっつけることで、グルコース1-リン酸となります。
この反応は、グリコーゲンホスホリラーゼという酵素によってコントロールされており、
グリコーゲンホスホリラーゼはグリコーゲンの分解量に最も影響を与えることから、「グリコーゲン分解酵素」と呼ばれます。
グリコーゲンホスホリラーゼは、高血糖時にインスリンによって活性が弱まりグリコーゲンの分解は減らします。一方、低血糖時や運動時にアドレナリンによって活性化して、グリコーゲンの分解を促進します。
グリコーゲン鎖の脱分岐
グリコーゲン鎖からグルコースを取り除いていくと、もちろんグリコーゲン鎖は短くなります。
グリコーゲンの分岐鎖の長さが4個になると、末端3個を切り取って分岐鎖を切り離します。
残った1個はもう一方の鎖と1,6-グリコシド結合しているので、1,4-グリコシド結合に戻され直鎖になります。
これには、4α-D-グリカノトランスフェラーゼという脱分岐酵素が働いています。
グルコース1-リン酸をグルコース6-リン酸に変換する
グリコーゲン鎖から取り外して得たグルコース1-リン酸は、グリコーゲンの合成の時とは逆にグルコース6-リン酸に戻します。
筋肉では、グルコース6-リン酸した後は、そのまま解糖系を通してエネルギー利用します。
このため、筋肉でのグリコーゲンの分解は、エネルギー利用のために行われます。
グリコーゲンの話からはずれますが、グルコース以外の単糖では、フルクトースとマンノースはフルクトース6-リン酸から解糖系に参加します。
グルコース6-リン酸をグルコースに変換する【肝臓のみ】
グルコース6リン酸から最後にグルコースに変換され、血液中に流されます。
この反応は「グルコース6-フォスファターゼ」という酵素によってコントロールされており、この酵素が肝臓(または腎臓)にしか存在しないことから、グリコーゲンからグルコースへの変換は肝臓でのみ起こります。
これはつまり、血糖値を上げる作用が肝臓でしかできないことを意味しています。
筋肉はグルコースをもらって使う器官なので、根本的に必要ないとも言えます。
まとめ
今回は、グリコーゲンの分解について代謝経路を中心に解説していきました。
- グリコーゲンの分解は肝臓は血糖値を上げるために、筋肉はエネルギーを利用するために。
- グリコーゲンホスホリラーゼによってグリコーゲンの分解はコントロールされている。
- グルコースの生成は肝臓でしかできない。
グリコーゲンの分解は、スポーツ選手にとって重要なエネルギーの捻出方法なので、
栄養などの観点でも非常に重要になってくると思います!
グリコーゲンの合成についても解説してるのでよければご参照ください!