ストレッチは意味がない?最新科学の正しい怪我予防ウォーミングアップ
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ウォーミングアップでストレッチを行わない選手やチームは、かなり少ないと思います。
ですが、近年の研究では、
一般的にウォーミングアップで行われているストレッチが、怪我の予防に効果がないだけでなく、パフォーマンスにも悪影響である可能性が示唆されるようになりました。
というわけで今回は、
最先端科学からどんなストレッチで効果がなく、どんなストレッチで効果があるのか解説して行きます。
※この内容は未だ議論が残っていますが、現状言われている内容についてまとめていきます。
まずストレッチには、静的ストレッチと動的ストレッチの2種類ある。
まず、一般的に行われているストレッチは2種類あります。
- 静的ストレッチ
- 動的ストレッチ
です。
静的ストレッチとは静止して行うストレッチです。
最も一般的に行われるストレッチで、地面に座った状態や立った状態から筋肉を伸ばして行くストレッチです。
一方で、動的ストレッチとは筋肉を動かしながら行うストレッチで、
ブラジル体操やラジオ体操も動的ストレッチになります。
そして、近年の研究で言われているのは、
静的ストレッチに怪我防止の効果がなく、増してはパフォーマンスに悪影響を与えている可能性が言われています。
静的ストレッチと動的ストレッチの目的
では、静的ストレッチと動的ストレッチでは何が違うのか。
もちろん行い方が違うのですが、それだけではなく、ストレッチの目的が少し変わってきます。
ストレッチ自体は、
筋肉の柔軟性を高めて、関節の可動域をあげることを目的にしています。
この関節の可動域のことを、ROM(Range of Motion)と言います。英語の意味の通り、関節を動かせる範囲を表しています。
そのROMにも2種類があり、そこに静的ストレッチと動的ストレッチの目的の違いがあります。
静的ストレッチの目的
静的ストレッチは「外から押して無理やり動かした場合のROM」を改善することを目的にしています。”
これを、他動的可動域(PROM :Passive Range of Motion)と言います。
つまり、静的ストレッチは他動的可動域の改善を目的としています。
動的ストレッチの目的
一方で、動的ストレッチは「筋肉を使って動かせるROM」を改善します。
これを、自動的可動域(AROM:Active Range of Motion)と言います。
つまり、動的ストレッチはAROMの改善を目的にしています。
静的ストレッチがなぜ悪影響なのか。
それでは、静的ストレッチがなぜパフォーマンスに悪影響と言われ始めているのか。
それには、2つの理由がります。
元々、ストレッチの効果が持続しない
静的ストレッチの効果はあまり持続しないのではないかということは、かなり言われています。
というのも、筋肉は収縮するものなので、ストレッチして伸ばしても、
動いて筋肉を収縮させたらとチャラなんじゃないのか。
ということです。
また、手のストレッチを元にした研究では、
静的ストレッチの効果は15分経てばなくなることを明らかにしている論文もあります。
腱が伸びると筋力が下がる
筋肉は伸ばしても縮みますが、筋肉と骨を繋いでいる「腱」は収縮しません。
ならばストレッチは良いのかというと、それにも疑問が残ります。
なぜなら、腱が伸びて柔らかくなると筋力が伝わらなくなるからです。
例えば、
何か物を引っ張りたい時に、“ゴムを繋いだ場合”と“ケーブルを繋いだ場合”どちらが力強く引っ張れるでしょうか。
ゴムを繋ぐと、伸びて力がロスしてしまいます。
もちろん、ストレッチしても腱はゴムほど伸びませんが、それと同じ効果が出るのではないかと言われています。
また同時に、筋力が下がると怪我のリスクが高まることも言われています。
そもそも、PROMを改善しても怪我予防にならない
根本的に、PROMは怪我予防に関係ないのではないか。ということも一説には言われています。
怪我は、体の骨や靭帯、筋肉などの組織が耐えられる以上の力が掛かった時に起きます。
PROMは、例えば30度しか動かせなかった関節を35度まで動かせるようにすることが目的です。
つまり、PROMを改善することで防げる怪我というのは、
30度では過剰な掛かっていたけど、35度では掛からないような場合です。
そんなことが果たしてあるのか?
捻挫をイメージしてください。
30度だったPROMが35度になったところで、足首にかかるのは同じ体重ですよね。
なんなら、35度の方が、モーメントアームが長くなって若干、負担が大きくなります。
怪我を防止するためには何をすれば良いのか。
つまり、怪我の予防には静的ストレッチが効果的でない可能性が色々と考えられるということは理解いただけたと思うのですが、
じゃあ、何をすれば怪我を防げるのか。ということです。
筋肉をちゃんと動かせるようにする
まず大事なのが、筋肉をしっかり動かせるようにしておくこと。です。
怪我の多くは、怪我の起きるシュチュエーションを回避できなかったことで起きます。
どういうことかと言うと、例えば、30度まで行くと可動域を超えて捻挫するならば、
30度未満の間に筋肉が動いて引き戻せば怪我を回避できます。
なので、
- 怪我するまでに筋肉が働く
- 引き戻すだけの筋力
があれば怪我をしないのです。
この点について、動的ストレッチを行うことで筋肉がちゃんと働くようになると言われており、実際に動的ストレッチの予防効果を証明している論文も出ています。
体をちゃんとコントロールできるようにする
怪我を起こるシチュエーションを回避できなかった理由には、筋肉の働きが間に合わなかった以外に、
そもそも、怪我のシチュエーションになっていることに気づけなかった。と言うことがあります。
例えば、同じく足首の例で行くと、
足首を捻った状態で地面に足を着くと、そのまま体重が乗って30度まで傾き捻挫します。
しかし、人間の関節にはセンサーがあり、傾きを感知できるようになっています。
そのセンサーがちゃんと働き、10度足首が傾いたことを察知していれば、
足が着く前に足の傾きを修正できた訳です。
この関節の認知機能は「固有受容」というもので、
バランスマットなどによって鍛えられることが、いくつかの論文でもその効果が証明されています。
まとめ
今回は、怪我予防に静的ストレッチが効果がないことを現在の科学的な見解を元に解説してきました。
トレーニングや試合の直前に行うに静的ストレッチを行うのは、筋肉の働きが弱まり怪我のリスクが高くなるということでした。
しかし、静的ストレッチは全く意味がないわけではなく、筋肉の柔軟性は肉離れの予防に重要なので、運動後やお風呂上がりの静的ストレッチは効果的です。
一方で、運動前のストレッチには動的ストレッチの方が効果的であると考えられています。