怪我予防プロトコルの効果|ストレッチ・筋力・固有器感覚
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怪我予防トレーニングを取りいてているチームやトレーナーは少なくないと思います。
しかし、治療とは違い予防トレーニングの効果が実際にどれぐらいあるのか、体感ではわかりにくいところがあると思います。
なので、研究によって出てくる統計的な数字はいい参考になるのではないかと思います。
予防プログラムの研究は、最近になって出てくるようになり、ストレッチに怪我の予防効果が薄いという話も一般的になってきたと思います。
しかし、他の予防トレーニングはどうなのか。というのはまだなんとも知られているようで知られていない部分だと思います。
というわけで今回は、
予防プログラムの効果についての現状のエビデンスを論文レビューから紹介していきます!
論文概要
今回は、2014年にBritish Journal of Sports Medicineに発表された、
「The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials」
という研究をレビューしていきます。
研究デザイン
この研究は、これまでの出てきている研究を総括し、結論をだすことを目的にするシステマティックレビューと言われる論文です。
システマティックレビューは、最もエビデンスレベルが高い研究デザインです。
この研究では、
-
ストレッチ
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筋力トレーニング
-
固有受容器トレーニング
-
複合的プログラム
によって怪我のリスクがどれほど下がったかを検討しています。
最近はシステマティックレビューもかなり増えてきて、これをさらにまとめたアンブレラレビューなるものも出てきています。
ストレッチ・固有受容器トレーニング・筋力トレーニングの予防効果
(赤:ストレッチ、黄色:固有受容器トレーニング、緑:筋力トレーニング、青:複合プログラム)
上のグラフは、ストレッチ、固有受容器トレーニング、筋力トレーニングのそれぞれの効果比較したものです。
縦棒のラインが効果が全くないラインで、
それより左に行くと予防効果が高く、
それより右に行くとむしろ悪化する傾向にあることを表しています。
ストレッチの予防効果
ストレッチによる予防効果には、統計的な有意差は見られず、一般的に浸透している通り、効果がないという結果になりした。
(怪我リスク=0.963, 95%CI 0.846–1.095)
ストレッチにもいろいろな方法がありますが、
従来のようなストレッチには、やはり効果がないと言えます。
しかし、効果があるという論文も実際にあるため、方法次第では効果があるかもしれません。
固有受容器トレーニングの予防効果
固有受容器トレーニングとは、関節の固有器感覚を鍛えることによって関節の安定性を高めるものです。
足首や膝の怪我予防に主に用いらていると思います。
固有受容器トレーニングでは、怪我のリスクを45%有意に減少させることが明らかにされました。
(怪我リスク= 0.550 95%CI 0.347–0.869)
固有受容器トレーニングは、怪我の種類と部位によっても予防効果の大小はかなりあると思いますが、
目的に合わせて取り入れることで効果的なトレーニングになると言えます。
筋力トレーニングの予防効果
筋力トレーニングの予防効果はこの論文では最も高く、怪我のリスクを68.5%有意に減少させていました。
(怪我リスク= 0.315, 95%CI 0.207-0.480)
筋力トレーニングのメリットとしては、効果の確実性が挙げられます。
筋力トレーニングの95%信頼区間は0.207~0.480と、固有受容器と比べ振れ幅が少ないことから、筋力トレーニングの予防効果はかなりエビデンスレベルとして高いと言えます。
しかし、いくつかの怪我、特に肉離れは筋力トレーニングの方法についてかなり吟味されています。
急性外傷と慢性障害での予防効果の違い
この論文では、予防プログラムによる急性外傷と慢性障害への効果の違いについても検討しています。
サンプルサイズから予防プログラム全体での比較しかありませんが、
急性外傷では、予防プログラムによって怪我のリスクが35.3%有意に減少し、(95%CI 0.502-0.836)
慢性障害では、予防プログラムによって怪我のリスクが47.3%の有意に減少していました。(95%CI 0.373-0.746)
慢性炎症の方が、予防プログラムの効果がやや大きい結果となっていました。
まとめ
以上が、現状のエビデンスによる予防プログラムの効果についてでした。
この論文はシステマティックレビューなので、ざっくりとした内容になってしまいますが、
一概に言うと、
ストレッチは効果がなく、
固有受容器トレーニングや筋力トレーニングの方が効果的であることは間違いないと言えます。
怪我のメカニズムやリスクファクターがもう少し明確になってくれば、より具体的な予防プログラムが検討されてくるのではないかと思います。
以上です!
参考文献
- Lauersen, J. B., Bertelsen, D. M., & Andersen, L. B. (2014). The effectiveness of exercise interventions to prevent sports injuries: A systematic review and meta-analysis of randomised controlled trials. British Journal of Sports Medicine, 48(11), 871–877. https://doi.org/10.1136/bjsports-2013-092538