筋トレと持久性トレーニングの筋力・テストステロン・コルチゾールへの影響

要旨

Eleven subjects (6 M, 5 F) strength trained 3 times a week for 16 weeks, and 22 subjects (14 M, 8 F) did likewise while also performing endurance training 3 times a week on alternate days. All variables were tested every 4 weeks for 16 weeks. Significant gender differences were observed for bilateral incline leg press and bench press 1-RM, serum testosterone (T), urinary free cortisol (UC), ventilation threshold (VT), and VO2 max. There was a significant increase in bilateral incline leg press and bench press 1-RM for both training groups and genders. Relative gains in bilateral incline leg press and bench press 1-RM were similar for men. For women the gains in bilateral incline leg press 1-RM, but not bench press, were lower with concurrent training than with strength training only. No significant differences in T were observed with either program. UC was significantly elevated at 8 weeks for men and remained so after concurrent training, but decreased to baseline levels after strength training. UC decreased in the strength training women at 8 weeks but increased for women in both groups at 16 weeks. VT and VO2 max increased at 16 weeks of concurrent training. This indicates there are differences in strength and hormonal adaptations between men and women with concurrent training and strength training only.

 

 

方法

対象者：

ストレングストレーニングonly群…11人（男性6人、女性5人）

ストレングス＆持久性トレーニング群…22名（男性14人、女性８人）

 

研究デザイン：

ストレングストレーニングonly群はストレングストレーニングは週3日で16週間行う。

ストレングス＆持久性トレーニング群は、同様のストレングストレーニングに加えて持久性トレーニングを週3回と交互に行う。

4週間ごとに測定項目の内容を測定する。

 

測定項目：

• 1RM（レッグプレス、ベンチプレス）
• 血中テストステロン
• 尿中遊離コルチゾール
• 換気性作業閾値（VT）
• VO2max

 

 

結果と考察

1RM：男性は両群で優位に増加。女性はベンチプレスは両群で増加、レッグプレスはストレングストレーニング群のみで増加。

 

血中テストステロンはどの群でも変化はなかった。

 

 

尿中遊離コルチゾールは、男性では8週間のタイミングで増加し、その後ストレングストレーニングonly群では16週目に値が減少、ストレングス＆持久性トレーニング群では維持した。

女性では、8週間のタイミングで下降し、その後両群とも有意に増加した。

 

VTとVO2maxは16週間で徐々に増加した。

 

これらの結果から、ストレングストレーニングおよび持久性トレーニングによるホルモンの影響には性差が大きいことが示唆される。

また、女性の方がコルチゾールの分泌が多く、特に持久性トレーニングを加えた群では特にその異化作用によってストレングストレーニングの効果が下がったと部分的には考えられる。しかし、血中テストステロンの濃度が変わっていないことから、計週6回のトレーニングがリカバリーの期間を無くしたことによる影響もあると考えられる。

 

 

個人的解説

週3回のストレングストレーニングに加えて、週3回持久性トレーニングを付け足すというなんともハードな研究結果ですが、残念ながら結果はきれいには出なかった感じですね。

 

ポイントとしては、女性でベンチプレスの1RMは増加したけど、レッグプレスは増加しなかったこと。

あと、尿中遊離コルチゾールが終わりにかけて女性で上がったことですかね。

 

おそらく持久走の疲労の影響を受けるのは足だと思うので、ベンチプレスが問題なく上がって、レッグプレスが上がらなかったのを考えると、週6回のトレーニングは女性にはハードすぎて、コルチゾールの異化作用が影響を及ぼしたということが考えられると思います。

 

ですが、逆に言えば男性は持久性トレーニングの異化作用はそんなに強くないので、筋トレ翌日はランニングは気にせずやっても問題なさそうです。

 

 

論文概要

論文タイトル	Effect of Strength Training and Concurrent Strength and Endurance Training on Strength, Testosterone, and Cortisol
著者	Bell Gordon; Syrotuik, Dan; Socha, Teresa; Maclean, Ian; Quinney, H. Art
発行年	1997
出典	Journal of Strength and Conditioning Research