痛みのメカニズム|侵害受容器・Aδ/C線維・ポリモダール受容器
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怪我をすると、「痛み」が生じます。
「痛み」を生理学的に説明すると、炎症段階における二次的炎症反応の一つです。
二次的炎症反応では、「痛み」と「スパズム」が起きますが、これによって損傷部位を動かさない様にすることで保護する役割があります。
しかし「痛み」は、まず不快感を招きますし、痛いからといって長期間安静にしていると、「拘縮」や「癒着」といった問題が生まれて来ます。
というわけで今回は、
痛みが生じるメカニズムについて解説していきます!
痛みを感知するメカニズム
痛みは、
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感覚受容器での有害性刺激の発見し、
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求心性ニューロン・脊髄を介して脳にまで電気刺激が伝達され
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脳が痛みの種類と部位を識別する
ことで、どの部位にどういった痛みがどれぐらいの強度であるのかを感じることができます。
感覚受容器の種類
感覚受容器はあらゆる刺激を感知するセンサーの役割をしている器官で、感覚受容器が受け取ることができる刺激を、私たちは感覚として感じることができます。
人間が受け取ることができる刺激の種類は大きく以下の3つがあります。
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電磁的刺激
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機械的刺激
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化学的刺激
電磁的刺激は、物理的な実体はないものので、光や熱などの刺激です。
機械的刺激は、物理的な圧力、音(空気の振動)などの刺激を感知します。
化学的刺激は、化学的物質による刺激で、主な例としては味覚や嗅覚などが挙げられます。
侵害受容器
痛み刺激を感知する感覚受容器をまとめて侵害受容器と言います。
侵害受容器の中でも、
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温度に反応する温度受容器
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圧力や伸張などに反応する機械的受容器
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様々な刺激に反応するポリモダール侵害受容器
などの種類があります。
侵害受容器の定義は「痛み」を受け取る受容器とされています。
ですが、「痛み」とは何なのか。ということが未だにハッキリと解明されていないため、侵害受容器とは何なのか、も実は未だに明確には出来ていません。
ですが、「痛み」とは何なのか。ということが未だにハッキリと解明されていないため、侵害受容器とは何なのか、も実は未だに明確には出来ていません。
求心性ニューロンの種類
求心性ニューロンの分類には、「直径による分類」と「受け取る刺激の種類と伝達速度による分類」の2種類があります。
「直径による分類」は、Aα線維、Aβ線維、Aδ線維、C線維があり、
このうち傷害受容器から刺激を受け取る神経線維はAδ線維とC線維になります。
一方で、「受け取る刺激の種類と伝達速度による分類」にはⅠ線維、Ⅱ線維、Ⅲ線維、ⅳ線維があり、
Aδ線維とC線維はそれぞれⅢ線維とⅳ線維にあたります。
Aδ線維とC線維の違い
Aδ線維は、髄鞘を持ち、より太く、素早く伝達することができます。
Aδ線維によって感じる痛みを「速い痛み」または「一次的疼痛」とも言い、鋭く強度の高い痛みを感じます。
一方で、C線維は無髄鞘で、細く、伝達速度は遅くなります。
C線維によって感じる痛みを「遅い痛み」または「二次的疼痛」と言い、強度は低い鈍痛を感じます。
「タイプ」は電気生理学的な観点から、「グループ」は解剖学的な構造から考案さたものです。
脊髄での刺激の伝達
求心性ニューロンに伝わった痛み刺激は、脊髄の後角の上行性脊髄路を通って脳へと運搬されます。
上行性脊髄路には、行き着く先から脊髄網様体路、脊髄中脳路、脊髄視床路の3種類がありますが、
Aδ線維とC線維は、その内の脊髄視床路を通ります。
脊髄視床路はさらに細かく分類でき、痛み刺激の伝達に使う前脊髄視床路と外側脊髄視床路の2種類があります。
前脊髄視床路は、他の多数の求心性ニューロンから刺激を伝達され、鈍い痛みの刺激を伝達します。
外側脊髄視床路は、主にAδ線維とC線維から刺激を受け、鋭い痛みを主に伝達します。
脳での痛みの識別
上行性脊髄路から伝達された刺激は、視床の後腹側角に伝達されます。
その後、大脳皮質の第1体性感覚野に伝えられます。
視床の後腹側角では、痛みの種類が判別され、
大脳皮質の第1体性感覚野では、痛みの部位を判別します。
視床で受け取られる情報は視床下部とリンクするため、情動行動などとも関係性が強いと考えられています。
まとめ
以上が痛みの伝達と識別のシステムについてでした。
- 痛み刺激を侵害受容器によって感知する。
- 痛みの種類によって求心性ニューロンのAδ線維とC線維に分けて中枢に伝達される。
- 求心性ニューロンからは脊髄後角の脊髄視床路を通過する。
- 脳では、視床で痛みの種類、第一体性感覚野で痛みの位置を認識する。
以上です!