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組織治癒での合併症|拘縮・癒着・肥厚性瘢痕・ケロイド・慢性炎症

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怪我しても、人間の体は大体は治癒できるようにメカニズムされています。
 
治癒のメカニズムには「再生」「修復」のメカニズムがあり、
再生は、組織が細胞分裂することで治癒する方法で、
修復は、コラーゲンから瘢痕組織を形成し、組織を作り直す方法です。
 
修復の過程の中で不具合が起きれば、作り直される組織が脆弱になったり、可動域が制限されるなどの問題が生じます。
 
今回は、修復の過程で起こる問題と合併症について解説していきます。
 
 
 
 
 

組織修復の過程で起こる問題

組織修復の過程で起こる問題は、以下のような種類が挙げられます。
  • 持続的な炎症(慢性炎症)
  • 過度の瘢痕形成
 

持続的な炎症(慢性炎症)

持続的な炎症(慢性炎症)は、急性炎症が長期的に続き、炎症が引きにくくなった状態です。
 
具体的には、以下の2つの原因が考えられれます。
  • 炎症が引くことなく組織の損傷が繰り返された
  • 何らかの問題によって白血球の炎症消散作用が正常に働かなかった
 
炎症が引かないまま、炎症段階の反応を終えると、肉芽組織の形成を阻害し、比較的に弱い瘢痕組織がその後の段階で形成されます。
これは、修復過程の完了後に組織が機能的に脆くなり、再発のリスクを高めることにつながります。
 
 

過度な瘢痕形成

過度の瘢痕形成は、線維芽細胞が異常に増殖した場合や、コラーゲン合成が過度に促進された場合に起こります。
また、創傷の収縮が異常に行われた場合も、創傷のサイズに対して不必要に瘢痕が形成されることにもなります。
 
過度の瘢痕形成は、組織の短縮や可動性の欠如といった症状につながります。
 
 

組織修復での合併症

続いて、これまでで説明したメカニズムを中心に起こる具体的な合併症に以下のような例が挙げられます。
  • 肉芽腫性の炎症
  • 筋繊維再生の遅延
  • 拘縮と癒着
  • 肥厚性瘢痕・ケロイド
 

肉芽腫性の炎症

炎症段階の後半に働くマクロファージが異物を分解しきれなかったことで、損傷部位に異物が残ってしまうことがあります。
これにより、損傷部位が慢性的に炎症します。
 
この時、異物によってできる小節を「肉芽腫」と言います。
肉芽腫があることで、修復後の組織の強度が低下します。
 
 

筋繊維再生の遅延

筋組織の小さい損傷では、筋繊維周辺の衛星細胞の分裂能力によって「再生」によって治癒することができます。
この場合の再生は、7~14日で完了します。
 
しかし、損傷サイズが大きくなり、筋繊維と同時に基底膜も損傷した場合は、筋繊維の再生基底膜の修復が並行して起こります。
 
基底膜の修復を行うということは瘢痕が形成されます。
この瘢痕は、筋繊維の再生を妨げる要因になります。
 
 

拘縮と癒着

関節の可動域を下げる要因に、拘縮癒着があります。
 
「拘縮」は、過度の創傷の収縮などによって、傷口が過度に短くなった状態で瘢痕組織が形成された場合に生じます。
つまり、損傷組織自体のサイズが小さくなる現象です。
これは、靭帯などでよく見られます。
 
一方で「癒着」は、瘢痕組織が損傷部位だけでなく周辺の組織とも結合してしまう状態です。
これは、滑膜性関節によく見られます。
 
 
 

肥厚性瘢痕とケロイド

繊維増殖の過程で、過度にコラーゲンが合成されると、異常な繊維性組織である肥厚性瘢痕またはケロイドが生じます。
 
肥厚性瘢痕は、損傷部位に限って過剰にコラーゲン繊維が形成される状態をさし、
ケロイドは、それが非損傷部位まで沈着する状態を指します。
 
これらの不要に多い瘢痕組織によって、瘢痕成熟段階を長引かせます。
症状は皮膚の局部的な集塊として簡単に見ることができます。
 
 

まとめ

以上が、組織修復の過程で起きる問題でした。
  • 修復段階の問題は、慢性炎症過剰な瘢痕組織の形成
  • 肉芽腫性の炎症は、肉芽腫が瘢痕組織に入り慢性炎症を引き起こす状態。
  • 筋線維の再生遅延は、基底膜の損傷によって修復が働いてしまう状態
  • 拘縮と短縮は、過剰な創傷の収縮が可動域制限を生む状態
  • 肥厚性瘢痕とケロイドは、過剰にコラーゲンが合成される状態

 

以上です。

 

 

 

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