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瘢痕成熟段階での組織修復|コラーゲンタイプ・再配列・コラーゲン架橋

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組織が損傷すると炎症が起き、多くの組織では組織の修復が起きます。
 
組織修復の段階には以下の3段階があります。
  • 炎症段階
  • 瘢痕形成段階
  • 瘢痕成熟段階
 
今回は、瘢痕成熟段階について解説していきます。
 
 
 
 
 
 
 

瘢痕成熟段階の概要

瘢痕成熟段階では、瘢痕形成段階で形成した繊維性瘢痕組織を、組織本来の役割を担えるような性質を持った正常な組織へと変換していきます。
 
瘢痕形成段階は、損傷後3~8週間程度で終了するとされていますが、コラーゲン合成の活性化は数ヶ月から1年近く続きます。
そのため瘢痕形成と瘢痕成熟は並行して行うとも言えます。
 
瘢痕成熟段階は、以下の3ステップで進んでいきます。
  • コラーゲンのターンオーバー
  • 強いコラーゲン架橋の増加
  • コラーゲン繊維の再配列
 
瘢痕成熟での代謝的な反応では、通常の組織の持つ強度の約30%以下にしか回復しないと言われています。
適切なリハビリを行い負荷をかけることで、より元々の組織に近い強度に戻っていきます。
 
 

コラーゲンのターンオーバー

損傷によって線維芽細胞が増殖することで、コーラーゲンの合成と分解のバランスは合成優位になっています。
 
瘢痕形成段階が進むにつれて合成量は減少していき、合成と分解のバランスが元に戻っていきます。
 
これにより、正常なコラーゲンのターンオーバーを復活させます。
 
タイプⅢのコラーゲンは、コラーゲン分解酵素のコラゲナーゼに分解されやすく、分解が優勢になってくると選択的に数が減少していきます。
 
 

強いコラーゲン架橋の増加

タイプⅢのタイプⅠのコラーゲンの違いとして、化学結合の違いがあります。
また、このコラーゲン同士の結合をコラーゲン架橋と言います。
 
タイプⅢのコラーゲンは、水素結合という弱い化学結合でお互いが結合し合い、
タイプⅠのコラーゲンは、共有結合という強い化学結合でお互いが結合し合っています。
 
タイプⅠのコラーゲンへと移行していくと、共有結合の割合も増加し、コラーゲン架橋がより強くなります。
これにより、組織は安定性適度な柔軟性を獲得します。
 
 

コラーゲン繊維の再配列

コラーゲン繊維の配列は組織ごとに違います。
 
この配列通りにコラーゲン線維が整っていることで、その組織にかかる負荷に対する強度や柔軟性を発揮することができます。
例えば、腱や靭帯はほとんど一直線に繊維が並んでいますが、関節包では一部繊維の向きが異なっています。
 
できてすぐの瘢痕組織ではコラーゲン繊維の向きが整っていないため、コラーゲンの再配列を行い、繊維の向きを整える必要があります。
 
正常な繊維の向きを取り戻すためには、数ヶ月から1年以上の期間を要します。
 
瘢痕繊維でのコラーゲン繊維の向きは、骨組織のリモデリングに関するWolffの法則と同じく、生じた力の向きに「順応」する反応と考えられています。
そのため、元の繊維に戻るためには、繰り返し本来の機能的にかかる負荷を長期的にかけることが必要と考えられています。
 

 まとめ

以上が瘢痕成熟段階のメカニズムでした。

  • コラーゲンの合成と分解のバランスを元に戻し、ターンオーバーを復活させる
  • タイプⅠコラーゲンを増やし、コラーゲン架橋を強化する
  • コラーゲン線維の配列を組織本来のものにする
 
以上です!
 
 
 
 
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