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外傷による組織損傷の治癒過程「再生」と「修復」の違い

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スポーツなどで怪我をする、つまり組織が損傷すると組織の機能が失われます。
関節を固定しないといけない靭帯が緩くなったり、筋肉が筋力をしっかり発揮しなくなっている状態です。 
 
これに対して、関節の可動域が少なくなったり、痛みによって筋力が発揮できなるのは、組織の損傷による炎症反応として正常なメカニズムです。
むしろ、炎症が正常に起こらない状態を慢性炎症と言い、こちらの方が問題です。
 
ですが、炎症反応が出ただけでは組織の機能は失われたままの訳で、続いて組織治癒が起きなければなりません。
 
という訳で今回は、
組織治癒の種類について解説していきます。
 
 
組織治癒の「修復」のメカニズムについては以下で解説しています。
 
 
 
 
 
 

組織”治癒”のメカニズム

「治癒」とは、損傷した組織が正常な組織状態に回復する身体のメカニズムのことを言います。
このメカニズムがあることで、怪我を治すことができます。
 
この治癒のメカニズムには、「再生」「修復」の2つの方法があります。
 
 

再生

再生は、損傷した組織を作り直すことによる治癒メカニズムです。
 
損傷部位の周辺の損傷していない細胞細胞分裂することで増殖し、組織を新生します。
また、こういった細胞の分裂・増殖能力のことを「再生能力」と言います。
 
例)骨組織、上皮、血管など
 
 

修復

修復は、瘢痕組織によって損傷組織が新しい組織に置き換えられる治癒メカニズムです。
 
修復は、以下のような場合に生じます。
  • 損傷組織の周辺の治癒環境が不十分な場合
  • 再生能力に限界がある細胞が損傷した時
 
修復の治癒プロセスでは組織は確かに復活しますが、少なからず機能的に不完全になってしまいます。
そのため、理想的な治癒プロセスは再生だと言えます。
 
例)腱、靭帯、関節包、筋膜など
 
 
 

再生か修復か。細胞の種類

治癒が再生か修復のどちらの方法で修復されるかは、受傷した組織の種類によって決まります。
 
細胞の種類は以下の3種類に分けられます。
  • 不安定細胞
  • 安定細胞
  • 永久細胞
 
 

不安定細胞

不安定細胞は、通常時から頻繁に細胞分裂を行なっており、再生能力に優れている細胞です。
この高い再生能力によって再生のメカニズムで治癒することができます。
 
血管上皮細胞、皮膚細胞などが例に挙げられます。
 
 

安定細胞

安定細胞は、ある程度の再生能力がある細胞です。
通常時ではあまり活発に細胞分裂はしませんが、組織の損傷が起きると細胞分裂が活発になります。
 
しかし、活性になった状態でも再生能力が組織の治癒を完全に賄うには不十分であることが多く、再生と修復の両方のメカニズムを働かせ治癒します。
 
再生と修復のどちらが優位になるかは、損傷の程度や組織の再生能力によって変わります。
 
肝細胞線維芽細胞などがこの例に当てはまります。
線維芽細胞は修復のメカニズムにおいて重要な役割を担います。
 
 

永久細胞

永久細胞は、再生能力に欠けるため再生をほとんど、または全く出来ません。
つまり、修復のメカニズムのみによって治癒します。
 
神経細胞筋細胞がこれに当てはまります。
しかし、筋細胞の場合は筋細胞の代わりに衛星細胞という予備細胞が細胞分裂することによってある程度は再生することができます。
 
 
永久細胞は、ほとんど細胞分裂しないので、細胞の分裂に頼って増殖するがん細胞が増殖しにくい細胞です。なので、神経や心臓はがん化しにくい細胞です。
 
 

まとめ

今回は、細胞の組織治癒の種類について解説していきました。
  • 細胞治癒には、「再生」「修復」がある。
  • 細胞の種類には、不安定細胞安定細胞永久細胞があり、
  • 不安定細胞は再生によって治癒し、安定細胞は両方で治癒し、永久細胞は修復で治癒する。
 
 
 
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