サッカーのドリブルで重心移動が重要性|バイオメカニクスで解説【後編】
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サッカーのドリブルで重要な要素の一つに、緩急のついた加速と鋭い方向転換があると思います。
このドリブルでの加速と方向転換を効率的に行うためには、
- 加速する時は重心を高く
- 方向転換する時は重心を低く
という重心移動が重要になります。
前回の記事から、加速と方向転換についてバイオメカニクスの観点で解説してきました。
前回は、
- バイオメカニクス自体の簡単な解説
- ドリブラー3選手の重心移動の使い方
- 支持基底面という面について重心移動を効率的にすることの大事さ
を解説しました。
そんな前回記事はこちら↓
今回は、ドリブラー3選手の重心移動の仕方がなぜ効率的なのかについて、重力の観点で解説していきます。
人に重力はどのようにかかっているのか。
重力は、重心にかかります。そして、人間の重心はへその少し下にあります。
つまり、人間はへその少し下のところの点を常に地球に引っ張られています。
※重心は体勢である程度変わります。
重力が地面に向かって人を引っ張っているのに対して、何もしなければコケます。
ですが、我々は重力と同じ分だけ常に地面を蹴って、地面からの跳ね返りを得ることで重力を打ち消しています。
そして、重力より強く地面を蹴るとジャンプでき、
重力より弱い力で地面を蹴るとしゃがめます。
これが、今回重要になる重力と地面反力です。
加速では重心を高くすることで、重力で加速する
それでは、方向転換せずにそのまま加速するドリブルをする時に重心を高くしておくことにどのようなメリットがあるのか。
加速する時、足は「重力を支える力+前に進む力」を発揮しなければなりません。
特に、加速・減速などでスピードを変える時は、トップスピードを保つ時以上に力を必要とします。
下の図をみてください。
このように、重心が低い状態で加速しようとすると、それ以上重心を下げられないので、全重力を支えないといけません。
そうなると、前に進むために残された力は少なくなります。
しかし、重心を高くした状態から加速すると、重心を少し下げられます。
そのため、重力を支える力が割安で済むので、より前に進むことに力を発揮できます。
なので、加速する時は重心を高くしておけば、いざ加速する時に重力を支える力を少なくすることができる訳です。
方向転換する時に重心を低くすることで、重力で止まる
一方で方向転換する場合は、今のスピードをいかに早く止めることが出来るかが重要になってきます。
なので、方向転換する時は、逆にスピードを消すのに重力を有効活用します。
下の図を見てください。
重心を高くしたまま方向転換しようとすると、シンプルに「元々のスピードをかき消す力+加速する力」が必要になります。
ですが、方向転換する直前に重心を下げておくと、重心を持ち上げることに元々のスピードがある程度使われるので、「元々のスピードをかき消す力」が少なく済みます。
そのため、加速する力により大きな力を割くことができます。
なので、方向転換をする前には重心を落としておいて、重力を効果的に使ってスピードを消すことが重要になります。
まとめ
以上で、ドリブル時の加速と方向転換を効率的に行う方法について、前編・後編に分けて、スポーツバイオメカニクスの観点から見ていきました。
スポーツバイオメカニクスの本来は、もっと詳細に様々な要素を考慮して計算するものですが、今回は基本的な部分のみに絞って解説しました。
細かいところは、記事では説明しきないので。
同じ切り返し一つでも、ドリブルの時をディフェンスの時では少し変わってきます。
ドリブルの時はこちらに主導権があるので、重心をおとして・・・ということができますが、ディフェンスの場合は相手の動きにすぐに反応できるようにしなければなりません。
ですが、効率的な行い方を知って工夫するだけで、同じ筋力でもより素早い切り返しができるようになります。