体力って何?持久力?筋力?「体力」の正しい定義
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「お前はもっと体力をつけないと」
という言葉は、スポーツ現場に限らず日常生活でもよく使うと思います。
この「体力」という言葉はおそらく文字通り「体の力」ということを意味していると思うのですが、よく考えてみれば、
「体の力」ってなんやねん。
と思わないでしょうか。
実際に、スポーツ指導者などが使う「体力」という言葉には、持久力の意味合いで使われていることも多いと思います。
ですが、持久力は体力の中の1つの種類になります。
(持久力という言葉もまた曖昧ですが。)
なので、「体力を鍛えろ」という指導は、何を鍛えるべきなのかを明確に指示できていないということになってしまいます。
というわけで今回は、
「体力」の分類について紹介していきます。
体力の分類
上は、大まかな体力の分類です。
意外に思われると思いますが、「体力」には身体的要素だけでなく、
精神的要素も含まれます。
スポーツに求められる「体力」には、もちろん身体的な要素は重要です。
ですが、私たちには精神的な要素も常に関係してくるため、身体的要素も精神的要素も体力を構成する要素と考えるのが合理的です。
行動体力と防衛体力
さらに細かく分類していくと、身体的要素、精神的要素共に行動体力と防衛体力に分類されます。
行動体力と防衛体力は、
- 行動体力が外に向けて発揮する能力、
- 防衛体力が外からの何らかに耐える能力です。
それぞれの例は、表の通りです。
つまり、これまでよく言っていた「あの選手は体力が足りない」という「体力」は、
身体的要素の行動体力になります。
身体的要素の行動体力の分類
スポーツで使われていた「体力」という言葉は、身体的要素の行動体力に分類されるという話でしたが、
身体的要素の行動体力もさらに細かく「構造」と「機能」分類することが出来ます。
「形態」とは、ハードウェアの部分。つまり、外側から見た身体の特徴のことです。
形態には、以下が含まれています。
- 体格
- 姿勢
「機能」とは、反対のソフトウェアの部分。つまり、内側の身体的な特徴です。
機能には、以下が含まれています。
- 筋力
- 敏捷性
- スピード
- 平衡性
- 協応性
- 持久性
- 柔軟性
体格
体格は、身長、体重、肩幅、ウエストなど体のサイズのことです。
体格がどのように影響するかはスポーツによっても変わりますので、一概にどの体格が優れているとは言えません。
強い力を発揮するためには、一般的に身長が高く、体重が重く方が有利になるでしょう。しかし、体重が重い人が軽い人と俊敏性を発揮するために更に多い力が必要になります。
姿勢
正しい姿勢で動くことで、全身の力を効率的に使えてより大きい力を発揮でき、より高い運動能力につながります。
例えば猫背の場合、肩甲骨が動きにくくなるので全身の連動が悪くなり、投げるなどの動作パフォーマンスが下がることなどが起こります。
このように、姿勢も運動能力に影響してきます。
筋力
筋力は、より大きな力を発揮する能力を指します。
専門的には「最大筋力」という言葉がこれに当てはまります。
ポイントは、筋力に速度は関係ないということです。
軽いものをどれだけ早く動かせるかという能力はスピードに分類されます。
敏捷性
敏捷性はいかに素早く動けるかです。
「加速する」「曲がる」「止まる」をいかに早く行えるか。をまとめて敏捷性になります。
敏捷性は他の要素とも関係性が深く、体重が軽く、平衡性が高く、筋力が高ければ、俊敏性は高くなります。
スピード
スピードは、どれだけ速く動けるかという能力です。いわゆる「トップスピード」のことです。
短距離走が代表的にスピードが重要な競技ですが、
- スタートからトップスピードまでは敏捷性
- トップスピード時はスピード
に分類されます。
平衡性・協応性
平衡性・協応性は、身体を的確にコントロールする能力です。
具体的には、バランス能力や反射能力といった能力になります。
バランス感覚や反射反応は、神経の働きが関係しており、
- 的確に体の状態を感知できるか(固有受容)
- 的確に意図した動作を行えるか(運動感覚)
といった神経の働きが重要になります。
持久性
持久性は、どれだけ長く運動を続けられるかという能力です。
持久性といえば、ランニングのように長くゆっくり動作を続けることをイメージしますが、ダッシュを何回繰り返せるかというのも持久性になります。
トレーニング科学では、
- ランニングのような持久性を全身持久力
- ダッシュを何回繰り返せるかという持久性を筋持久力
と更に分類します。
柔軟性
柔軟性は体をどれだけ大きく自由に動くせるかということをさします。
これは関節の可動域ということになります。
私たちは、筋肉が関節を操ることで動いています。この筋肉や関節に問題があれば柔軟性が下がります。
柔軟性が下がると、大きい動きで余計な力が必要になるので、ロスが生まれます。
まとめ
以上が、体力の分類、特に身体的要素の行動体力の中の分類でした。
- まず、体力は身体的要素と精神的要素が含まれる。
- 身体的・精神的要素共に、行動体力と防衛体力を含む。
- 身体的要素の行動体力は更に細かく分類される。
やはり、指導者は的確な指導ができることに越したことはないはずです。
そのためには、体力をもっと噛み砕く必要があると思います。
また意外に、本来の狙いの体力と違う体力の練習になっていることは多くあります。
例えば、足腰を鍛えると目的でランニングをする例です。
足腰の強さというのは筋力や平衡性が主要な構成要素ですが、ランニングは持久性のトレーニングです。
こういう、ミスマッチを防いでいくことはより良いトレーニングのためには必要でしょう。