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運動でのエネルギーの作り方3種類【エネルギー供給系】

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運動するには、体内の炭水化物や脂質などから筋肉が使うエネルギーを作る必要があります。

 

このエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)というものですが、

この"ATP"というエネルギーを、炭水化物や脂質からなんとかして作らなければ、我々人間という生き物は動けません。

 

正確には、体内にATPのストックは若干あるので、仮に突然にATPが作れなくなくなっても、ストックで10m程度は動けます。

なので、今後の人生を10m以内の移動で生き延びる予定の人はATPを作ること諦めても良いという訳です。

 

逆に、今後10m以上動きたい人はATPを作り続けなければならなりません。

人間とはそういう使命なのです!

 

このATPの作り方を専門用語で「エネルギー供給系」と言います。

そして、このエネルギー供給系には3種類あります。

 

今回は、そんなエネルギー供給系の3種類とその違いを解説していきます!

 

 

そもそもなんで3種類に分かれているの?

エネルギーの種類はATPの1種類だけです。

 

正確には、ADPというATPの変化形もあるが、ADPはそもそもATPからできる物なので、

まとめるとATPの1種類だけなんです。

 

じゃあ、

「ATPの作り方も1種類で事足りないの?」

と思う人もいると思います。

 

では、なぜ故にエネルギーの作り方が3種類もあるか。と言いますと、

それは、色んな運動に対応するためです。

 

1種類のエネルギー供給系なら、私たちは車や電車のように、エネルギーがある間は全力でもゆっくりでも走れる。

ただ、最終的に走れる距離は変わらないということになります。

つまりは、エネルギーがなくなれば全く走れなくなる。というシンプルな話です。

 

しかし、人間は実際どうなっているかというと、全力で走れる距離はかなり短いです。ですが、歩きなら半永久的に続けられます

メンタルが折れないかぎり。

 

そうじゃなくても、人間には臓器を一生動かし続ける義務があるので、ゆっくりと長くエネルギーを作り続けることを人間は得意にしています。

(水だけ飲んでれば、30日ぐらい生きれるそうなので、その点は車よりも優れてますね)

 

そんな中、ある時にはより早くエネルギーを作って大きな力を出すことも出来るように、その時だけ違うエネルギーの作り方をしないといけないという訳です。

そのために、必要な時に必要な分のエネルギーを作れるように、3種類のエネルギー供給系を人間は使い分けています。

 

ATP-CPr系

ATP-CPr系は最も早くエネルギーを作り出すことのできるエネルギー供給系です。

 

なぜ、このエネルギー系が早くエネルギーを作れるかというと、エネルギーを作る過程が1段階だけで非常にシンプルだからです。

 

そのため、ATP-CPr系では一瞬でエネルギーを作ることが出来ます。

早くエネルギーを作れるということは、時間あたりより多くのエネルギーを作ることができ、それは時間あたりより大きな力を出せるということになります。

なので、このエネルギー供給系のお陰で、突然に大きな力を動き出すことが出来ます。

 

一方で、ATP-CPr系によるエネルギーの生産は、原材料となるクレアチンリン酸(CPr)を8秒程度で使い切ってしまい、継続できなくなります。

つまり、その後は違うエネルギー供給系でエネルギーを作らなければならないということになります。

 

そのために、最初の一瞬の瞬発力に重要になるのがこのATP-CPr系です。

 

 

解糖系

解糖系とは、字のごとく糖を分解してエネルギーを作り出すエネルギー供給系です。

 

糖は糖質、つまり炭水化物です。

炭水化物は食べると胃や腸で分解されグルコーゲンとなって体内に保管されています。解糖系は、そのグリコーゲンを分解することでATPを作り出します

 

そして、解糖系の特徴はATP-CPr系に次いで2番目に早いエネルギー供給系で、ATP-CPr系が約8秒で止まり始めた頃に出遅れてATPを作り始めます。

 

ATP-CPr系は約8秒間つまり50m程度し走ればすぐに限界が来るのに対して、解糖系はかなり長く持ちます。

 

というのは、ダッシュなどの運動をすると解糖系が限界を迎える前に筋が酸化するという原因で筋肉に限界がきてしまうので、解糖系はなくならずじまいになります。

 

なので、解糖系を限界に追い込むためには、割とコツコツと1-2時間は運動を続けないといけません。

 

なんですが、割とコツコツと運動を続ける球技などでは解糖系の限界近くまで使います。

サッカーもそうですが、90分間に渡ってダッシュしたりジョギングを挟んだり止まったりしながら割とコツコツ運動を続けるので、解糖系がかなり限界まできます。

そして、それが試合終盤の疲労の原因になります。

 

 

ちなみに、激しい運動を続けると筋肉に溜まってくることで有名な乳酸は解糖系によって作られます。

ちなみに、乳酸自体は疲労物質ではありません。よく間違われて認識されていますが。(その話は、長くなるので今度にします。)

 

まとまると、解糖系は長い時間渡って激しい運動を繰り返すスポーツ選手にとって非常に重要なエネルギー供給系です。

 

有酸素系

最後になりましたが、最も遅く、しかし長くATPを作り続けることができるのがこの有酸素系です。

半永久的に動き続けることができる人間の強みこそがこの有酸素系です。

 

しかし、エネルギーを作る速度はかなり遅くなります

いわゆる、有酸素運動のような軽い運動の間はほとんど有酸素系でまかなえますが、息が切れる頃には必要なエネルギーの半分を有酸素系でまかない、もう半分を解糖系でまかなう、という配分になります。

 

有酸素系は、主に脂肪を原料にATPを作ります。

脂肪以外にも、解糖系によって出てきた乳酸も原料にできますが、圧倒的に脂質の方が多いので、脂質がメインの原料になります。

 

そして、有酸素系は本当に半永久的に続きます

体内にある脂質は、80,000 [kcal]分ぐらいも存在します。

 

これが、どれぐらい多いかと言いますと、

人間は生命を1日維持するのに女性で1200kcal男性で1500kcalしか必要としません。

また、仮にマラソンを走っても2500kcal程度しか必要としません。

 

なので、

  • 何も食べずに60日間いる
  • 何も食べずにマラソンを25回ぐらい走る

このどちらかをすれば体内の脂質はなくなり有酸素系は限界にきます。

ですが、その前にきっと何かやばい病気になるので、つまりは人間に有酸素系の限界を迎えることはできません。

 

まとめると、半永久的にエネルギーを作り続けるエネルギー供給系が有酸素系です。

 

まとめ

今回は3つのエネルギー供給系を解説していきました。

 

どれが最も優れているというものではなく、

  • 今すぐエネルギーが欲しい時はATP-CPr系
  • 長時間だけど激しい運動を繰り返す時は解糖系
  • ゆっくりだけど半永久的に働くのが有酸素系

という風に、使い分けています。

 

これは、基礎知識なので、この知識を実際の場面に応用するというのはイメージがつきにくいかもしれませんが、更に詳しい知識を学ぶなら絶対に必要なベースの知識です。

 

例えば、ダイエットで脂肪を減らしたいなら有酸素系を利用するべきかなとかはイメージできると思います。(実際は、そんな単純ではないんですが。笑)

 

ですが、これを気にじぶんに必要な知識をより詳しく勉強して欲しいと思います!

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