少しの運動だけで記憶力が20%アップする?【運動と海馬とBDNF】
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記憶力は、学生から社会人まで老若男女問わず誰しもが欲しいものです。
そんな誰しもが欲しい記憶力ですが、意外と鍛えにくいとは思わないでしょうか。
「俺、数学高校でめっちゃ良くなったんだよ〜」
って言う人はいても、
「俺、大学生なって記憶力めっちゃ伸びたわ。」
って人、あんまり来たことがないと思うんです。
記憶力を上げる方法を強いてあげるなら、「記憶法」というものがあります。
これは記憶したい物にイメージをつけたり、年号なら語呂合わせにしたりして、元々の記憶力を効率的に利用するという方法で、割と目に見えて効果は出ます。
ですが、我々はありとあらゆる物を覚えたいわけです。
どんなものにも記憶法が使えるのか?と言われれば、、、、、というところだと思います。
(それでもかなり幅広く使えるので勉強してみる価値はあるとは思います。)
とは言っても、元々の記憶力が鍛えられたらとっくに鍛えてるっての。って思うかもしれませんが、
元々持っている記憶力そのものを鍛えることも実は不可能ではないのです。
私たちの脳には神経細胞が1000億個あり、その神経細胞同士が繋がることで記憶を作ります。
記憶法が繋がりやすい神経細胞を選んで記憶を作るのに対して、
根本的に神経細胞を繋がりやすくしてしまう方法が近年の研究で明らかになりました。
それが、運動です。
高いサプリメントを買ったり、特殊な機械を使う必要はないのです。
ただ、運動すれば記憶力が鍛えられると言うことが明らかにされたのです。
今回は、運動と記憶の関係と、結局どんな運動が記憶力向上にいいの?という話をしてきます。
運動するだけで記憶力が20%アップする?
運動による記憶力への影響について有名なのが、2007年にドイツの研究グループが行った研究です。
ここでは、運動前と運動後に単語を記憶してもらった結果、運動後の方が20%早く記憶することが出来た。
ということが明らかにされています。
とは言うものの、これで「運動が記憶力を向上させる!」と言うには弱い気がします。
だって、早く覚えたいと言うよりも、より多く覚えたいのが世の常じゃないですか。
運動と記憶力の関係を説明するために、次に少し記憶のメカニズムを説明していきます。
記憶力を強化する正体は「BDNF」とやら。
運動することで記憶力の向上するメカニズムはBDNF(脳由来神経栄養因子)というホルモンにあります。
脳で記憶を司っている「海馬」という部分を聞いたことがある人は多いと思いますが、
海馬では、
- 神経幹細胞という細胞から新しい神経細胞(=新生ニューロン)を作り出す。
- それが他の神経との繋がりを持つことで記憶を形成する。
- そして、その繋がりをより強くして、記憶を定着させる。
という一連のメカニズムを担っています。
一方で、この海馬において生成されて、上のメカニズムを助けるのが例のBDNFです。
運動するとBDNFが増える。
そんなBDNFなんですが、運動することで海馬での劇的に増えることが数々のマウスの実験で明らかにされています。
コットマンという人の研究では、
マウスを走らせて、脳内のBDNFの量を測った結果、BDNFが走ったマウスで増加したとされています。また、BDNFの量はより多く走ったマウスたちの方がより多くなったそうです。
また、プレイグという人の研究では、
見えない足場のあるプールで何度もマウスを放つと、事前に走らせたマウスの方が足場の場所を早く記憶したそうです。
(走らなかったマウスの方が体力が余ってたからプール浴を楽しんでたんじゃね?って思うかもしれませんが、マウスは水が苦手なのでそれはありません。)
BDNF以外にも、運動することで先ほど少し挙げた、”神経幹細胞”自体が増加することも言われていて、同じくマウスの研究では、運動することで神経幹細胞の増殖が2倍に増加したということも明らかにされています。
じゃあ、どんな運動をすればいいの?
メカニズムの話は少し難しい感じになってしましましたが、そんな難しい話はさておき、
運動すればいいって、どんな運動をすればいいんだよ!
って話が皆さん聞きたいところだと思います。
結論から言うと、それは、、、
有酸素運動です。
ただ、きつい有酸素運動が効率的なのか、軽くても問題ないのか。に関しては、まだはっきりしていません。
ただ、いくつか言われているのが、
- 血流を脳に送ることが重要で、軽い運動でも効果があるとする研究もある。
- 基本的には運動をしてから学習するのが効果的。学習直後の運動はあまり効果ない。
- しかし、学習4時間後なら運動して効果があるかも。
- 記憶に関しては、定期的に運度することにあまり効果はなく、運動直後に脳への血流が増加して、BDNFが一時的に増加することに効果がある。
- 長時間の運動は、シンプルに疲れちゃうんで良くない。
などが言われています。
とりあえず、重要なのは血流を脳に運ぶこと。
上がややこしいと思う人のために簡単にするなら、
「血流をいかに脳に送るか。」
が重要になります。
(ちなみに、これは記憶に限らず脳の機能を高めること全般に言えます。)
基本的には、運動することでIGF-1(インスリン様成長因子)、VEGA(血管内皮成長因子)、FGF−2(繊維芽細胞成長因子)と言ったホルモンが放出され、
このホルモンたちが血流に乗って頭まで届けられることがBDNFのスイッチだと考えられています。
血液は重力で下半身に溜まりがちなんですが、軽くでもいいから運動して筋肉を使うと筋ポンプ作用というのが働いて、血液を筋肉が上半身に押し戻します。
加えて、より多くのホルモンを働かせるためには、ある程度は激しい有酸素運動をすることが望ましいでしょう。
ただし、あんまり長いこと運動したり、レジスタンストレーニングしたりして、筋肉が疲労しちゃうと、それはそれで良くありません。
疲労すると回復にエネルギーを使わなくてはならなくなるので、脳への血流が減ります。
そして、皆さんよくご存知の通り、眠くなります。
言うまでもありませんが、運動して、記憶力を上げても、
学習しないことには記憶もクソもないですからね。笑
個人的には、短い運動を10分程度でガッとやるか、散歩する程度が良いんじゃないかと体感的には感じています。
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