サッカー選手に最もよく起こる怪我は何か
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サッカー選手にとって、常に怪我は付き物です。
特にサッカーのようなコンタクトスポーツでは、様々な怪我が起こります。
ですが、様々な怪我をすると言っても、
ある程度はスポーツの特性によって怪我の種類が偏ってきます。
このサッカーで特に起こりやすい怪我について、FIFAが2002年W杯でデータを用いて明らかにしています。
今回は、それの研究を元に、サッカーではどのような怪我が起こるのかについて紹介していきます。
種類別で見る怪我率
上のグラフは、2002年W杯で起こった全怪我の割合を示しています。
この結果では圧倒的に打撲が多く、50%以上の怪我は打撲だという結果でした。
サッカー選手の怪我として定番の、肉離れや捻挫といった怪我はその次に多くなっています。
しかし、数だけで見れば打撲が最もサッカー選手が注意すべき怪我のように見えますが、実際はそうではありません。
プレーできない期間が生じた怪我
上のグラフは、欠損期間(プレーできない期間)が生じた怪我に絞った結果です。
欠損期間が生じた場合では、肉離れが圧倒的に多い怪我になります。
一方で、全ての怪我では93件も起こっていた打撲は30%ほどに減って20件になります。
同じく、全部で25件あった捻挫も欠損時間が生じたものは20件もあります。
それでは各怪我ごとに解説していきます。
打撲の怪我
W杯中に起こった半分以上の怪我は打撲による怪我でした。しかし、打撲は数が多い一方で、重症化するケースが比較的に少ない傾向にあります。
損失期間が生じた怪我に絞ると3番目になるように、ほとんどの場合が比較的に軽傷で済んでいると言えます。
一方で、打撲は外的要因による原因がほぼ全てを占めているため、予防が難しいことも挙げられます。
打撃を受ける勢いと部位によっては重症化してしまうことはもちろんありえるますが、
基本的には
- 重症化のリスクが低く
- 予防は難しい怪我
と言えます。
肉離れの怪我
欠損時間が生じる怪我で見ると、肉離れは捻挫・靭帯損傷を含めた数の2倍も起こっています。
肉離れは大腿部で最も多く起こりますが、それ以外に股関節部、下腿部、上腕、体幹などでも起こります。
一方で、捻挫・靭帯損傷は足首と膝が大部分を占め、手首や首などでも起こりますが、サッカーではかなりレアなケースになります。
肉離れは怪我率が高い上に怪我をした時の重症度が高く、長期離脱に至りやすい怪我です。
そのため、肉離れの予防プロトコルを取り入れていくことは、サッカーにおける怪我の予防で最も最優先と言えます。
捻挫・靭帯損傷の怪我
捻挫は、ニュースなどでよく聞くことや、サッカーをやっている人なら身近な怪我だと思いますが、プロサッカー選手の怪我では肉離れの半分程度しかありません。
ですが、アマチュアサッカー選手、特にジュニア・ユース年代では肉離れより捻挫の方が多くなります。
これは、プロサッカー選手に比べてアマチュアサッカー選手は筋肉が未発達なので、肉離れを起こすまでの力が出ないことが主な理由です。
なので、相対的に捻挫の怪我が多く起こります。
ですが、プロサッカー選手でもメジャーな怪我であることは変わりませんし、比較的に重症度が高くなる怪我なので、世代に関係なく十分に注意が必要です。
部位別で見る怪我率
部位別では、大腿部、下腿部などがサッカー選手の怪我をよくする部位ではないです。
大腿部が最も多かったことに関しては予想通りというところでしょうか。
ですが、頭部と下腿部の怪我が次いで最も多く、次いで足首と膝の怪我が多い、と言う順になります。
頭部の怪我
頭部の怪我が多かったのは意外に感じる人も多いのではないでしょうか。これは、頭部に出血がカウントされているからです。
実際に、頭部の怪我の多くは打撲と切り傷で、こういった怪我の多くは欠損時間のない怪我にあたります。
一方で、頭部の怪我で十分な注意が必要なのは、脳震盪です。
決して珍しい怪我ではなく、25件のうち5件が脳震盪による怪我になります。
脳震盪は命に関わる可能性がある非常に危険な外傷です。
脳震盪は重症度に関係なく、受傷後はプレーを止める必要があり、医療従事者の管理されて復帰に至る必要があります。
そのため、復帰には早くとも約1週間かかります。
選手はプレーできる状態なのに。ということが脳震盪では起こりますが、安全に治療するべき怪我です。
下腿部(ふくらはぎ)の怪我
一方で下腿部はどうかと言うと、こちらはほとんどが打撲です。
やはり、ボールが足元にある以上、下腿部の衝突を避けることは難しく、これが下腿部の怪我が多くなった原因と考えられます。
一方で、下腿部の肉離れも5件起こっています。
しかし、下腿部は大腿部ほどの出力がないことや、本来、体重が常に乗っている部分なので耐性が強いことから、大腿部ほど肉離れの怪我が起きにくい傾向にあります。
足首の怪我
その次には、足首と膝がほぼ同じ数でランクインしています。
足首といえばやはり捻挫が多く、25件のうち16件は捻挫です。
ですが、残りの9件が打撲や切り傷といった怪我で、これらもよく起こる怪我と言えます。
膝の怪我
膝の怪我では、22件のうち14件が打撲による怪我です。
膝の怪我といえば、靭帯損傷や半月板損傷というイメージが強いと思うのですが、靭帯損傷が5件、半月板損傷が2件と、靭帯・半月板の怪我は意外にも打撲に比べて少ないです。
ですが、膝の靭帯・半月板の怪我は高確率で長期離脱につながるため無視できません。
数は少ないですが、膝の靭帯損傷・半月板損傷を予防するプロトコルもサッカーには必要です。
足部の怪我
次いで、多かったのが「足部」いわゆる足首より下の足です。
足首、膝でも多かったように、足部での怪我も打撃による怪我が多く、14件中10件が打撲と切り傷による怪我です。
足首や膝より下は、やはりコンタクトの中でのボールの奪い合いで、よく接触が生じ、打撲や切り傷などの怪我が多くなると考えられます。
種類×部位で見た最も多い怪我は?
これまで、怪我の種類別で多い怪我、そして体の部位別で多い怪我を紹介してきた。
最後に、「怪我の部位 × 怪我の種類」では何が多いのかを紹介していきます。
結果から言うと、下の表でした。
左の表が全怪我で見たランキングですが、そこで最も多かったのは、下腿の打撲です。
その次には、大腿部の肉離れと足首の捻挫が来て、4つ目と5つ目は頭部の打撲と大腿部の打撲となりました。
やはり、全ての怪我でみると打撲が多く起こっていることから、打撲が多くランクインしています。
また、打撲の部位で見ても大腿部と下腿部は足元にあるボールに対するプレーの中での接触が怪我につながっているようです。
一方で、頭部の打撲も多く見られ、これはヘディングの競り合いによる接触が原因と考えられます。
一方で、欠損時間があった場合の怪我の数で見て見ると、ここでは、大腿部の肉離れが最も多く、その次に足首の捻挫が多い結果になりました。
大腿部の肉離れでは18件のうち18件全てが欠損時間を伴う怪我に発展しており、足首の捻挫も16件のうち10件は欠損時間を伴うものでした。
これらの怪我はやはり重症となる可能性が高いことが、チームとしてはこれらの怪我を避けるようにしていきたいと言うところかと思います。
一方で、下腿部の打撲は、ほとんどが軽傷で済んでおり、欠損時間を伴うよう怪我は24件のうち半分以下の10件に留まっています。
そういう点で見れば、予防の優先度としては低くなるでしょう。
まとま
このように見ていくと、
サッカーで起こる怪我では打撲が多いが、重症度へのリスクが低いことや、予防策が難しいことから打撲に対して怪我の予防を試みるのは、打撲は最優先ではないと言えます。
一方で、比較的に受傷頻度も高く、かつ、重症化のリスクが高い大腿部の肉離れや足首の捻挫などは積極的に予防プログラムを行なっていくことが重要でしょう。
予想はできたことですが、やはりサッカーでは下半身の怪我が多く、上半身の怪我が少ないです。
また、それに加えてヘディングというプレーがあることで頭部の怪我のリスクもかなり高いようです。
これらを踏まえて怪我予防に努めていくことで、怪我率の低下につなげることができるでしょう!