サッカーで、中枢性疲労はどれほど影響しているのか。【論文レビュー】
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サッカーのパフォーマンスで「疲労」を語ると、どうしても、身体的な疲労に重点を当ててしまいがちです。
ですが、筋肉を動くのもそもそも脳からの指令があるからです。
なので、脳の疲労もサッカーのパフォーマンスを作用する要素になり得るということは考えられます。
ということで今回は、
サッカーにおける中枢性疲労についての論文を紹介してきます!
論文概要
方法
研究対象者
某セリエAチームに所属するプロサッカー選手22名(2GK,8DF,8MF,4FW)
測定項目
- 最大随意膝伸展の筋力と筋電の振幅
- 様々な電気刺激(1Hz, 10Hz, 100Hz)を加えた時の筋収縮
- 20m+20mの往復切り返し走のタイム
- パスの技能テスト
- 筋損傷の血液指標(クレアチンキナーゼ)
研究方法
結果と考察
最大随意膝伸展の筋力と筋電の振幅
膝伸展による随意的筋力は、試合直後に低下し、48時間後に元も筋力に戻りました。
ここでは、「随意筋力」と「筋電」ともに低下が見られています。
つまり、随意筋力の低下は、筋肉による疲労だけではなく、そもそもの電気刺激の量が低下していることも原因に挙げられるということです。
言い換えると、中枢性疲労によるパフォーマンスの低下が幾分か起こっているということです。
試合中に起こった筋肉損傷やエネルギー枯渇などが筋力に影響していることはもちろんですが、
この結果から、中枢神経の疲労もサッカーのコンディション低下の原因に考えられると言えます。
様々な電気刺激(1Hz, 10Hz, 100Hz)を加えた時の筋収縮
こちらは、外的に電気刺激を筋肉に加えた場合の筋発揮の変化を表しています。
100Hzの強電気刺激を与えた時の筋力は試合後でもさほど大きく低下していませんが、1Hzと10Hzの弱電気刺激を与えた時の筋力が大きく低下しています。
先ほどの随意的な筋力とその筋電図が中枢性疲労を見ているのに対して、
電気刺激による受動的な筋力では末梢性疲労を見ています。
外的に電気刺激を与えることによって、脳からの信号に関係なく筋収縮を起こしているわけですが、
ここでの筋力が下がるということは、筋肉が電気刺激に対応できなくなっているということを意味しています。
特に、弱電気刺激で大きく低下が見られるため、電気刺激をロスなく筋肉に伝える神経筋関連に問題がある可能性が考えられます。
20m+20mの往復切り返し走のタイム
こちらは、フィジカル的パフォーマンスの評価として用いられた切り返し走のタイムです。
統計的には、中枢神経の疲労と末梢神経の疲労どちらも、パフォーマンスとの相関関係はなく、どちらの影響もパフォーマンスの低下に影響しているという結果でした。