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ケト原性アミノ酸のアセト酢酸・アセチルCoA代謝への代謝【生化学】

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みなさん、こんにちは!

 
おそらくみなさんは、
「炭水化物」「脂質」「タンパク質」を三大栄養素として生きていると思います。
 
炭水化物は、グルコースとなって解糖系でエネルギー利用され、
脂質は、脂肪酸からアセチルCoAとなってクレブス回路でエネルギー利用されるのは、よく知られていると思います。
 
一方で、たんぱく質は筋肉やホルモンの材料と考えられがちではないでしょうか。
 
確かに、たんぱく質をは主にそういった組織の材料として利用されるは確かですが、
例えば筋肉がエネルギーが足りなくなると分解されるという話は聞いたことがあると思います。
 
そういったエネルギー不足の状況では、
たんぱく質もアミノ酸に分解されてエネルギー利用されます。
 
タンパク質には、代謝方法の違いから、
  • ケト原性アミノ酸
  • 糖原性アミノ酸
に分類することができます。
 
今回は、
「ケト原性アミノ酸の代謝」について解説していきます!
 
糖原性アミノ酸の代謝については以下の記事にて解説しています。

 

 

 

 

糖原性アミノ酸とケト原性アミノ酸

まず、最初にアミノ酸は代謝され方によって
「糖原性アミノ酸」「ケト原性アミノ酸」
の2つに分けることができます。
 
糖原性アミノ酸は、クエン酸回路を通って最終的にオキサロ酢酸になり、
糖新生によって糖に作り変えられるアミノ酸です。
 
一方で、ケト原性アミノ酸は、アセト酢酸またはアセチルCoAになって、
脂肪酸に作り変えられるアミノ酸です。
 
ヒトの代謝に用いられる20種類の中には、
  • ケト原性アミノ酸の性質しか持たないもの
  • 糖原性アミノ酸の性質しか持たないもの
  • 両方の性質を持つもの
があります。
 

全20種類のアミノ酸の分類

ケト原性アミノ酸の性質しか持たないアミノ酸は、
「ロイシン」「リジン」
 
糖原性アミノ酸の性質しか持たないアミノ酸は、
「アラニン」「グリシン」「システイン」「スレオニン」「セリン」
「バリン」「メチオニン」
「アスパラギン」「アスパラギン酸」
「アルギニン」「グルタミン」「グルタミン酸」「ヒスチジン」「プロリン」
 
ケト原性・糖原性の両方の性質をもつアミノ酸は、
「トリプトファン」「イソロイシン」「フェニルアラニン」「チロシン」
 
です。
 
 

糖原性アミノ酸とケト原生アミノ酸

 

ケト原性アミノ酸の代謝

ケト原性アミノ酸として代謝されるアミノ酸は、
「アセト酢酸」「アセチルCoA」のいづれか(または両方)に変換されます。
 
ですが、アセト酢酸に変換されたアミノ酸も、その次に結局はアセチルCoAに変換されます。
 
アセチルCoAまで変換された後は、主に3つの使い道があります。
  • アセチルCoAとしてその組織内エネルギー利用
  • 脂肪酸に変換し血液中に流して、他の組織エネルギー利用
  • 脂肪酸に変換して、脂肪組織トリグリセリド合成
 
脂質代謝についてはまた別の記事で詳しく解説します。

アセト酢酸になるアミノ酸と、アセチルCoAになるアミノ酸

アセト酢酸に行き着くアミノ酸は以下の5つです。
リジントリプトファンフェニルアラニンチロシンロイシン
 
アセチルCoAに行き着くアミノ酸は以下の2つです。
イソロイシンロイシン
 
 

ケト原生アミノ酸はアセチルCoAに変換される

ケト原性アミノ酸の代謝経路

ケト原性アミノ酸の代謝経路は、以下の4種類に分類することができます。
  • リジン・トリプトファンの代謝経路
  • フェニルアラニン・チロシンの代謝経路
  • イソロイシンの代謝経路
  • ロイシンの代謝経路
 
以下でそれぞれ解説していきます。
 
 

ケト原性アミノ酸の代謝経路は4種類

 

リジンとトリプトファンの代謝経路

リジントリプトファンは、共に「2-オキソアジピン酸」に変換され、その後は同じ過程でアセト酢酸まで代謝されます。
 
トリプトファンは途中で「アラニン」を生成し、アラニンが糖原性アミノ酸として代謝されることから、
トリプトファンは糖原性アミノ酸にも数えられます。
 
 

リジンとトリプトファンの代謝経路

フェニルアラニンとチロシンの代謝経路

フェニルアラニチロシンは、まず、「フェニルアラニン→チロシン」と変換され、
最終的に「フマル酸」「アセト酢酸」に行き着きます。
 
このフマル酸は、クエン酸回路の一員で、クエン酸回路に入ってオキサロ酢酸から糖新生されます。
なので、フェニルアラニンとチロシンは、糖原性アミノ酸でもあります。
 
 

フェニルアラニンとリジンの代謝経路

 

イソロイシンの代謝経路

イソロイシンは「イソロイシン→プロニオルCoA→スクニシルCoA」と代謝され、
スクニシルCoAからクエン酸回路に入って、オキサロ酢酸になります。
オキサロ酢酸はその後、糖新生されるので、イソロイシンは基本的には糖原性アミノ酸です。
 
ですが、「プロニオルCoA→スクニシルCoA」と変換される時にアセチルCoAも合成されるため、同時にケト原性アミノ酸としても数えることができます。
 
 

イソロイシンの代謝経路

ロイシンの代謝経路

ロイシンは、最終的には「アセト酢酸」になります。
加えて、その過程で「アセチルCoA」も生成します。
 
そのためロイシンは、アセト酢酸にもアセチルCoAにも代謝できる唯一のアミノ酸です。
 
ちなみに。
トリプトファンも代謝過程でアセチルCoAを生成しますが、同時にアセチルCoAを使用します。
そのため、トリプトファンをアセチルCoAを生み出すアミノ酸とするかどうかは意見が分かれます。
 
 

ロイシンの代謝経路

 

 

まとめ

今回は、ケト原性アミノ酸の代謝について解説していきました。

  • ケト原性アミノ酸は、アセト酢酸アセチルCoAに変換される
  • その後、アセチルCoAになりエネルギー利用されたり脂肪酸になったりする
  • 代謝経路は4種類にある

 

非常にマニアックな内容で、これをそのまま現場に活かすことは難しいですが、

この知識があることで、世の中に溢れる情報をよりしっかり理解して使うことができるのではないかと思います。


糖原性アミノ酸の代謝は以下の記事で解説しています。

 

それでは!

 
 
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