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肝臓・筋肉でのグルコーゲンの合成・分岐【経路・酵素】

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みなさん、こんにちは。

 

近頃は、「ケトジェニック」なるものが巷で噂になっていますが、

私たち人間の最も使い勝手のいいエネルギーは炭水化物であることには変わりありません。

 

なぜかというと、その炭水化物は「グリコーゲン」として貯蓄される訳ですが、

グリコーゲンほど、十分に貯蓄できて、すぐに使えるエネルギーの貯蓄方法はないからです。

 

ということで今回は、

グリコーゲンの合成について詳しく解説してきます。

 

かなりマニアックなので、無駄な情報が多いかもしれません。みなさんの必要な情報の取捨選択をよろしくお願い致します。

 

 

 

 

グリコーゲンの貯蔵量

グリコーゲンは、
  • 肝臓に、重量の約5~8%(約100g)
  • 筋肉に、重量の約1~2%(約250~300g)
が貯蔵されています。
 
肝臓に貯蔵されている「肝グリコーゲン」は、血糖値の調整に用いられ、
筋肉に貯蔵されている「筋グリコーゲン」は、エネルギー源として用いられます。
 

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グリコーゲンの合成

グリコーゲンは、複数のグルコースがグリコシド結合することによって直列に繋がっていくことで合成されます。
 
肝臓や筋肉などの細胞が血液中からグルコースが取り込まれると、細胞内にあるグリコーゲン鎖の先端にくっつくことで、そのグルコースはグリコーゲンの一部となります。
 
これを繰り返していくことで、グリコーゲンの鎖はどんどん長くなっていき、
結果、グリコーゲン量が増えていくことになります。
 
このグルコースからグリコーゲンが合成される過程には以下の過程があります。
  • 「グルコース」を「UDP-グルコース」まで変換
  • 「UDP-グルコース」をグリコーゲンに繋げる
 

「グルコース」を「UDP-グルコース」まで変換

血液中から取り込んだグルコースを、早速グリコーゲンにくっつけたいところですが、
まずはグルコースを、グリコーゲンにくっ付けられる形に変換する必要があります。
 
その形こそが「UDP-グルコース」です。
 
この下準備とも言える変換反応にも3ステップがあります。
  • グルコース → グルコース6-リン酸
  • グルコース6-リン酸 → グルコース1-リン酸
  • グルコース1-リン酸 → UDP-グルコース
 

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グルコース → グルコース6-リン酸
まず最初のステップでは、グルコースを「グルコース6-リン酸」に変換します。
 
これは、解糖系の最初のステップと同じ反応なのですが、
解糖系はグルコースを分解してエネルギー利用するのための反応で
グリコーゲンの合成はグルコースを貯蓄するための反応です
 
なので、同じ反応でも
  • 解糖系の場合は、エネルギーが必要なときに起こり
  • グリコーゲンの合成は、エネルギーが余っているときに起こります。
 
そのため、筋肉と肝臓で違う酵素が働きます。
 
 
これについて詳しくは、以下の記事をご覧ください。
 
この反応が起こるタイミングの差は、筋肉では「ヘキソキナーゼ」、肝臓では「グルコキナーゼ」と別の酵素が働くことによって、生まれています。
 
 
グルコース6-リン酸 → グルコース1-リン酸
次に、グルコース6-リン酸のリン酸基の位置をずらして、グルコース1-リン酸を作ります。
 
この反応は、グルコースをどんどん取り込んで、グルコース6-リン酸が増えてくると、その濃度をコントロールするようにグルコース1-リン酸に変換していきます。
 
次の反応で、リン酸基をUDPに取り替えることでUDP-グルコースを作ります。
その際に、UDPを1位の炭素にくっつけるために、あらかじめ、リン酸基を6位から1位に写します。
 
 
グルコース1-リン酸 → UDP-グルコース
グルコース1-リン酸までくると、UDP-グルコースに変換することができます。
 
この「UDP」は、UTPからもらいます。
グルコース1-リン酸がUTPと反応することで、グルコースにUDPがくっつきます。
 
同時に、元々グルコース1-リン酸にくっついていたリン酸基と、UTPがUDPになるときに漏れでたリン酸基の2つのリン酸基がから「無機リン酸(Pi)×2」が生成されます。
 
この反応は、グルコース1-リン酸ウリジルトランスンスフェラーゼという酵素によってコントロールされています。
 
 

「UDP-グルコース」をグリコーゲンに繋げる

無事、グルコースをUDP-グルコースに変換できれば、次に、UDP-グルコースをグリコーゲンに繋げます。
 
この際に、UTP-グルコースのUDPが取り除かれて、その外れた部分がグリコーゲンとグリコシド結合します。
 
この反応は、グリコーゲンシンターゼという酵素によってコントロールされています。
また、グリコーゲンシンターゼは、グリコーゲン合成酵素と言われており、グリコーゲンの合成をコントロールする最も重要な酵素です。
 
この反応までで、グルコースがグリコーゲン鎖に繋がり、グリコーゲンとなります。
 
 

長いグリコーゲンの直鎖を分岐させる

上の反応が繰り返してグルコースをどんどんくっ付けていくことで、グリコーゲン鎖を長くしていくのですが、
グリコーゲン鎖が11個以上繋がると、途中で分岐させる反応も起こります。
 
鎖にグルコースをくっつけて長くする時には、グリコーゲンの4位の炭素とグルコースの1位の炭素が結合する「α1,4-グリコシド結合」が行われていまいた。
 
しかし、アミロ1,4→1,6-トランスグルコシダーゼという酵素によって、鎖の途中が「1,6-グリコシド結合」に変わります。
そうすることで、4位の炭素にまた新たにグルコースを結合する出来るようになり、分岐を作ります。
 

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動物のグリコーゲンでは、直鎖に12〜18個のグルコース分子が繋がることができます。その制限の中で、より高分子のグリコーゲンを作るために、分岐を作ります。
 
 

まとめ

今回は、グリコーゲンの合成について反応経路を中心に話していきました。

  • グルコースが直列状に繋がることでグリコーゲン鎖が長くなる
  • グルコースはUDP-グルコースに変換されてグリコーゲン鎖にくっ付く
  • グリコーゲン鎖はある程度長くなると、分岐する
 
次には、グリコーゲンの分解についても解説していきます!
 
 
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