サッカー選手の運動量、一流選手はどう違うのか。
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近年、サッカー選手の運動量について、「運度量は多ければ良い訳ではない。」と言われるようになって来ました。
メッシ選手をはじめ多くの一流選手は、比較的に運動量が少ないにも関わらず活躍できることから、動きの質や大事なところでしっかり走れることが大事だと言われるようになってきていると思います。
ですが、サッカーを実際にしていると運動量は多い方が活躍のチャンスが多い気がすることはないでしょうか。
今回は、一流選手と一般的な選手では運動量がどのように違うのかを見ていきます。
データの内容と引用元
今回の比較に使うデータはMagina Mohr、Peter Krustrup、Jens Bangsbo、という方たちが論文出している
「Match performance of high-standard soccer players with special reference to development of fatigue」
という論文を参考にしています。
また、一流選手と一般的な選手の定義は、
一流選手は、セリエAに所属しチャンピオンズリーグに出場している選手
一般的な選手は、デンマーク一部リーグに出場している選手
からデータを集めています。
一般的な選手のレベルが高い気がしますが、チャンピオンズリーグ出場選手との間には差はあるでしょう。
運動量は一流選手の方が多いのか
早速ですが、一流選手と一般的な選手での単純な運動量に差はあるのか。
その答えが下のグラフです。
1試合の平均走行距離は、一流選手が10.86km、一般的な選手は10.33kmと500mほど一流選手の方が運動量が多いことが分かりました。
※2003年のデータなので少し古いです。今はもう少し運動量が多くなっています。
ここでは、距離よりも一流選手と一般的な選手の比較に注目してください。
500m程度なら個人差の方が大きいのではないかと思われるかもしれませんが、
ほとんどの選手は、平均値の±300mの範囲(グラフの線の範囲)で収まります。
なので、もちろん例外的に運動量が少ない一流選手もいるはずですが、ほとんど一流選手が一般的な選手より運動量が多いとういことになります。
ですが、一流選手と一般的な選手の違いは単純な運動量の違いだけではありません。
次に、運動量の内容をランニングスピード別に見ていきます。
一流選手が一般的な選手と何が違うのか
一流選手と一般的な選手で決定的に違う部分は何か。
それが、下のグラフです。
これは、90分間の内にどのスピードで動いている時間がどの程度の割合を占めるか。を示したグラフです。
一般的な選手は、歩行やジョギングをしている時間が一流選手より長く、
一流選手は、歩行、ジョギングの時間が短い分、より速いランニングスピードで走っている時間が一般的な選手より長いことが分かりました。
注目すべきは、静止している時間は一流選手の方が長いという点です。
つまり、一般的な選手は、歩行やジョギングなどを継続的に行う傾向があり、
一流選手は、高いランニングスピードをメリハリをつけて行う傾向があるということです。
なぜ、一般的な選手はメリハリがつけられないのか。
一般的な選手が一流選手のようにメリハリをつけて走れないのかと言うと、もちろん動きの質の面で無駄走りが多いのもあるかもしれませんが、
それ以上に、一般的な選手は耐疲労の回復能力が低いことも考えられます。
この研究では、試合全体を通してのデータ以外に15分毎のデータも明らかにしています。
そこでは、
一流選手が試合の60分あたりまでは速いランニングをより多く繰り返す対して、
一般的な選手は、開始15分間でスプリントの頻度はピークになり、その後は最後まで若干低い頻度で一定になります。
これは、一般的な選手が速いランニングを行なった後の回復が遅いために、エネルギーの利用が緩やかになっていると考えられます。
これは、ここぞの時に走れる確率が下がることを意味しているので、それが一流と一般を分ける一つの要素だと言えるでしょう。
まとめ
今回は、一流選手と一般的な選手の運動量の違いについて論文のデータをもとに解説しました。
一流選手は一般的な選手より単純に運動量が多いだけでなく、一流選手は速いスピードのランニングが多いことが分かりました。
つまり、
一流選手は運動量の中にもメリハリがあり、
一般的な選手は遅いスピードを継続する傾向があることが分かりました。
今回の話は、ポジションや戦術などは考えず、平均値で話をしているので全ての選手に今回の内容が適しているとは限りません。
ですが、一概にはメリハリをつけて走ることが出来る選手の方が一流選手になる傾向があると言うことが言えます。